アドビ、企業向け新ソリューション「Adobe GenStudio」発表。生成AI活用、コンテンツサプライチェーンを革新

アドビは、生成AIの活用によりコンテンツの企画から制作、配信までのすべてを統合し、企業のコンテンツサプライチェーンを革新する新ソリューション「Adobe GenStudio」を発表した。

Adobe Creative Cloud、Adobe Firefly、Adobe Express、Adobe Experience Cloudといったアドビのソリューションを連携することで、マーケティングおよびクリエイティブ部門は次のことが可能になるという。

  • 生成AIのAdobe FireflyとAdobe Expressを企業の持つデータと連携させることで、シンプルで使いやすいインターフェイスのもと、新規コンテンツや派生コンテンツを迅速に制作・アクティベート
  • Adobe Workfront、Adobe Experience Manager(AEM)、Adobe Creative Cloudに単一のエンタープライズポータルからアクセスできるエンタープライズコンテンツワークフローを構築し、コンテンツの再利用を促進
  • あらゆるチャネルを通じてコンテンツをアクティベーションし、Adobe Experience Cloudを通じてコンテンツのパフォーマンスに関するインサイトを即座に獲得

アドビのデジタルエクスペリエンス事業部門担当プレジデントのアニール チャクラァーシー氏は次のようにコメントしている。

チャクラァーシー氏:生成AIには、コンテンツ制作体制のスピードアップと、複雑な企業コンテンツのアクティベーションを高度に両立させる可能性があります。これにより、大規模なパーソナライゼーションを実現する最新のコンテンツサプライチェーンを構築できるのです。Adobe GenStudio は、クリエイティブおよびマーケティング部門が生成AIを最大限に活用できるようにし、コンテンツの制作からアクティベーションにいたる全プロセスをシームレスに向上するソリューションです。

一般的にwebページの公開やマーケティングキャンペーンの実施に代表される、コンテンツの制作から公開にいたるまでのサイクルには、数週間もの制作作業や人手による煩雑な作業を要し、これは世界中の企業が抱える課題となっている。

このプロセスにおいて、クリエイティブおよびマーケティング部門はそれぞれが、ドラフトの作成、クリエイティブの創出、共同作業とレビュー、コンテンツ制作、チャネルのアクティベーション、コンテンツの提供と地域や市場に向けた最適化、分析とレポートといった時間のかかる作業に携わることになる。

Adobe GenStudioは、生成AI、スマートオートメーション、アジャイルな編集を企業のコンテンツサプライチェーンに導入することで、クリエイティブの創出や意思決定を共同でリアルタイムに進め、大規模なパーソナライゼーションを実現できるようにする。

Adobe Creative CloudとAdobe Experience CloudにAdobe Fireflyを統合することで、アドビは制作からアクティベーションまでのプロセスを変革し、コンテンツのアイデア創出から編集、提供、複数のバージョンを管理するサイクルを数日、数時間から数分に短縮するとしている。

生成AIの活用

Adobe GenStudioは、アドビならではの方法で生成AIを活用する。このソリューションにはAdobe Fireflyがネイティブに統合され、商用的に安全なコンテンツ生成機能を提供する。

アイデア創出からコンテンツ配信までの期間は短縮され、企業はあらゆるチャネルを通じて優れた顧客体験を提供できるようになるとしている。Adobe GenStudioの特長は以下の通り。

  • 商用的な安全性:Adobe Fireflyを活用することで、商用的な利用を想定した安全なコンテンツ生成が可能
  • カスタムモデル:アドビは、ユーザーと協力して企業独自のアセットを使用してモデルをカスタマイズし、ブランド独自のコンテンツを生成可能
  • 拡張性:さまざまなプラットフォームからアクセス可能なAdobe Firefly APIにより、ワークフローと自動化を強化
  • 統合ワークフロー:AIが生成したコンテンツの編集、コラボレーション、アクティベーションに関する重要なサービスへのシームレスな接続が可能
  • コンテンツインサイト:コンテンツのパフォーマンスをチャネル横断で詳細かつ即座に把握するための分析機能を提供

企業の敏捷性

デジタルマーケティング、製品の市場投入、キャンペーンパーソナライゼーションのニーズを満たすためのデジタルコンテンツに向けられる要求水準は飛躍的に高まっているという。

デジタルマーケティングがますますパーソナライズされるようになり、新しいデジタル体験を提供するさまざまなソーシャルメディアプラットフォームに移行している。マーケティングワークフローを拡張し、新たなステークホルダーに権限を与え、リアルタイムのコンテンツ展開を可能にするツールは、企業の成功にとって欠かせないものだと言える。

Adobe GenStudioは、品質やブランドの一貫性を損なうことなく、企業のスピードと敏捷性を劇的に加速するという。Adobe ExpressとAdobe Experience Cloudの統合により、組織内のより多くの関係者が、高まるコンテンツ需要を迅速かつ容易に解決できるようになるとしている。マーケティング担当者は、ブランドが承認したアセットを作成、編集、バージョンアップして、すぐにパーソナライズできる。デジタル顧客体験の責任者は、Adobe GenStudioの導入により、ブランド基準と全体的なガバナンスを維持しながら敏捷性を手に入れることができるとしている。

効率性の向上とコストの最適化

あらゆる組織がコンテンツ制作の最適化を追求する中、企業はワークフロー全体の複雑さを軽減し、コンテンツの効果を測定しながら生産性の向上とコスト削減を推進する必要がある。Adobe GenStudioは、制作からアクティベーションまでのプロセスのあらゆる段階においてコスト構造を改善するという。Adobe Workfront、Adobe Firefly、Adobe Experience Managerを統合することにより、ビジネス要件に影響を与えることなく、時間がかかり複雑かつ高コストである制作プロセスを加速・最適化するという。

© 株式会社プロニュース