TikTok発の大阪名物、長すぎるベビーカステラを調査

「大阪の新名物かも」「どこで売ってるの?と話しかけられるくらい目立ってました」と、TikTokで話題になっている「甘々堂(かんかんどう)」(大阪市浪速区)のベビーカステラ、その名も「ぐらぐら通天閣」(600円)。どうやって、昔懐かしの「ベビーカステラ」を令和の時代にバズらせたのか?

「甘々堂」の新名物「ぐらぐら通天閣」(600円)

その実態を調査するため、大阪・新世界にある「甘々堂」を尋ねてみると・・・そこは寿司屋「謹賀」と一体型の店舗。そう、渦中の店は寿司屋発の「ベビーカステラ屋」だった!さっそく、同店のヒメダダイキさんに話を伺った。

■「最初の頃は、認知度も反響もなかった」

───TikTokでは動画再生回数が2000万回超えと、SNSの反響がすごいですね。

次々と拡散されていくのを目の当たりにして、こんなことになるんや!って驚きつつも、うれしいの一言です。自分たちもインスタなどに登場して努力はしていましたが、それとは比にならないくらい、一瞬で広まってびっくりですね。

熱々のベビーカステラをテンポ良く、串に刺してゆく(大阪市浪速区)

───これだけの反響を得るためには、相当の試行錯誤がなされたのでは?

最初の頃は、認知度も反響もなかったですよ。でも、見た目にインパクトのある商品を送り出したいっていう考えは初めからありました。なので「一番目立つビジュアルってなんやろう?」と、ポッキーとか色々なものにベビーカステラを刺していったのが始まりです(笑)。

話を伺ったのは、「甘々堂」のヒメダダイキさん

で、最終的に長い棒に刺し「その先っぽどうしよ?」と言いながら、近くにあったお菓子のカプリコを先端に刺してみたらいい感じに。これならイケると。カプリコは持ちやすさを意識してくっ付けています。でも最初は「売れるわけないやろ」と、周りからはかなり反対されましたね(笑)

───商品開発には、スイーツ専門の方が従事されているのでしょうか?

違います。もともと寿司屋ですから(笑)。スタッフ一同、ベビーカステラ作りの講習会で、初めて機材に触れましたね。

でもそんな試行錯誤のかいあってか、今では全国からお客さんが「ここ目指して来ました!」と、訪れてくれるようになってうれしいです。この前は宮城県から「これがどうしても食べたくて」と来てくれたり、海外の方も写真を見て尋ねてきてくれたり。

■「みんなでワイワイ楽しんで、取り組んでいった先に」

───誕生からたった2カ月ほどで、ここまでの反響っぷり。多いときで1日何本くらい売れるんですか?

夏休みの期間だと、1日150本近くは売れていましたね。

「ぐらぐら通天閣」を求め、昼11時の開店めがけて多くの人が訪れる(大阪市浪速区)

───ずばり、バズリスイーツを開発する秘訣は何だと思いますか?

実はね、バズるかな?と思い、のびるチーズ入りのベビーカステラとかも販売しているんです。でも全然だめで。「こんなん流行らんやろう」と言われながら、串に刺していったのが流行るっていう(笑)。

あと、「甘々堂」にちなんで「かんかんダンス」も投稿していたのですが、全然伸びなかったですね(笑)。バズることを狙って企画してもバズらなかった。でも、遊びの延長みたいに、みんなでワイワイ楽しんで、取り組んだ先にそれ(バズり)があったって感じで・・・極論それですかね。

ビジュアルももちろんですけど、まずはベビーカステラのおいしさをシンプルに堪能してほしい!という思いが、根底にあります。

昔ながらの「ベビーカステラ」をバズらせた方法とは、「楽しみながらトライする」ことにあった。取材しながら、実際に「ぐらぐら通天閣」を片手に通天閣へ移動したのだが、その道中の人々の視線たるや・・・日本人はもちろん、海外旅行客からのアツい眼差しも感じた。通天閣で注目を浴びたい人は、ぜひ手に取ってみて。

専務のヒメダさんも「目立ちたい人にはおすすめ」と太鼓判を押す(大阪市浪速区)

「甘々堂」の営業時間は平日昼11時〜夕方6時、土・日・祝は〜夜7時。

取材・文/高岡奈津古

甘々堂 新世界ジャンジャン横丁

住所: 大阪府大阪市浪速区恵東須東3-3-10
営業:平日11:00〜18:00、土・日・祝11:00〜19:00
電話:06-6760-4762

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