【日本薬剤師会コメント公表】KKR 札幌医療センターの病院敷地内薬局の整備事業に係る逮捕事件で

【2023.09.14配信】日本薬剤師会は9月14日、KKR 札幌医療センターの病院敷地内薬局の整備事業に係る公契約関係競売入札妨害事件の報道を受けて同病院の元事務部長と、同病院敷地内薬局の運営会社であるアインファーマシーズの現社長(アインホールディングス常務取締役)および取締役が逮捕されるという事件が報じられたことを受け、コメントを発表した。これまで日本薬剤師会では医療機関敷地内に薬局の開設もしくは保険指定を認めるべきでないと主張してきたことを挙げ、その最も大きな理由として、「当該医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がるとの懸念」だったと改めて強調している。

発表したコメントは以下の通り。

■病院敷地内薬局の整備事業に係る公契約関係競売入札妨害事件の報道を受けて

去る令和 5 年 8 月 31 日、KKR 札幌医療センターの敷地内薬局の整備事業に係る公契約関係競売等妨害罪の容疑で、同病院の元事務部長と、同病院敷地内薬局の運営会社であるアインファーマシーズの現社長(アインホールディングス常務取締役)および取締役が逮捕されるという事件が報じられました。

今回のような事件が起きてしまったことは誠に残念であり、今後の北海道警察の捜査により事件全貌が解明されるまで、引き続き注視していくことが必要であると考えていますが、当該企業においては、今回の事件発生という事実を真摯に受け止め、グループ企業全体として捜査に協力するとともに、患者や関係者の信頼回復に向けた対応に努めることを強く望むものであります。

敷地内薬局の問題は、規制改革要望に伴う対応で、平成 28 年に実施された保険医療機関と保険薬局の間のフェンス設置を求めないという運用の見直しの結果、保険薬局の独立性を損なうことが憂慮される事象として、大病院を中心に敷地内薬局の誘致が目立ち始めました。これまで日本薬剤師会が医療機関敷地内に薬局の開設もしくは保険指定を認めるべきでないと主張してきた最も大きな理由は、当該医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がる、または、そのような問題をはらんでいることを懸念していたからにほかなりません。

日本薬剤師会では、適正な医薬分業の実現・推進を掲げ、国民・患者の医薬品の適正使用のために懸命に取り組んできました。今回のような事件が起きてしまったという事実は、現場で懸命に働く薬剤師や事務職員はもちろん、関係者に大きな不安や影響を与えるものであり、同時に、患者や関係者の信頼を裏切ることにもなりかねず、誠に遺憾であると言わざるを得ません。

日本薬剤師会においては、今後も引き続き、薬剤師・薬局による国民・患者の医薬品の適正使用を推進するため、医薬分業制度の定着に努めていく所存です。

令和5 年9 月14 日
公益社団法人 日本薬剤師会

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