ARRI、モジュラー型全天候型LED照明器具「SkyPanel X」発表

ARRIは、SkyPanelシリーズの最新作として、全天候型LED照明器具「SkyPanel X」を発表した。モジュラーシステムとして開発され、さまざまなサイズに構成可能なSkyPanel Xは、ネイティブソフト、ネイティブハード、そしてオープンフェイスのライティングを提供する。

ARRIのSkyPanel Xは、先進的なLEDテクノロジーと柔軟性を併せ持ち、多様な用途と既存のすべてのワークフローの可能性を拡大させ、スタジオ、レンタルハウス、企業クライアントの幅広いニーズに対応するという。さまざまな機能を備え、撮影監督、照明技師、コンソールオペレーター、照明デザイナー、放送技術者の要件と組織やチームの働き方に合わせて設計されている。

SkyPanel Xは、近距離でのダイレクトなキーライティングのために、100%から0%までのフリッカーフリーオペレーションでローエンド調光機能を提供。1500Kから20000KのダイナミックCCTレンジにより、ナトリウムランプや雲のかかった太陽光の特性を表現できる。RGBACLフルスペクトルライトエンジンは、これまでで最高のARRIライティングカラーサイエンスを備え、スキントーンを向上させ、忠実に色を再現。LEDパネル1枚にある8つのピクセルゾーンは、高度なコンソールプログラミング、視覚効果、およびバーチャルプロダクション環境の要件を満たす。

また、耐久性と信頼性を最大限に高めるために設計されたSkyPanel Xは、雨、嵐、高圧ジェット洗浄から完全に保護されており、すべての気象条件に対してIP66等級の防塵防水性能が認定された。これにより、メンテナンス手順が大幅に短縮され、ランプヘッドの長寿命化が実現。さらに、ワイヤレス制御、高度なネットワーク性能、統合された電源を装備。

SkyPanel X:モジュラー体験

SkyPanel Xは、さまざまなフォーマット(横型、正方形、縦型)に構成可能で、大口径のソフトライト、強力なハードライト、または非常に強いオープンフェイスライトを照射できる。ARRIのクイックロックシステムを採用したXモジュラーヨークにより、複数のユニットを組み合わせることも可能。

SkyPanel Xには3つのフロントアタッチメントが用意されており、純正品としてフィットして各ユニットに取り付け可能。「X21 Dome」はネイティブソフトライト用、「S60 Adapter」は既存のすべてのS60 SkyPanelアクセサリ用、そして、「HyPer Optic」はネイティブハードライト用。

すべてのランプヘッドに同梱されているX21 Domeは、ネイティブソフトライトを照射。タレントの近くで使用することができると同時に、より遠くからでもビームの確かな広がりを失うことなく照明を当てることができるという。点灯中のホットスワップが可能な丸みを帯びたディフューザーは、ランプヘッドの前面から素早く着脱可能。X21 Domeは、サードパーティ製のアクセサリやモディファイヤと完全な互換性がある。

オプションのS60 Adapterを使用すれば、SkyPanel Xユーザーは、従来のSkyPanelシリーズで使われる同じアクセサリの選択と同じテクニックの適用ができる。確立された既存のSkyPanelワークフローの変更はないが、最新のライティングイノベーションとの融合により強化される。

ハイパフォーマンスのルクス出力であることから名付けられたHyPer Opticは、ホットスワップ可能なオプションレンズで、8つのピクセルゾーンを個別に制御でき、X21ランプヘッドの前面から素早く着脱可能。HyPer Opticを使用することで、SkyPanel Xは中・遠距離照射の優れたツールとなり、複数のシングルレンズからの照射を1つのシングルビームとして集束させる。

SkyPanel Xのモジュラーセットアップにより、ユーザーは、X21 DomeとHyPer Opticを素早く交換するのか、あるいは、X21 DomeとHyPer Opticを組み合わせるのかを選択し、ソフト、セミソフト、セミハード、ハードなネイティブハードライトを作り出すことができる。

強化された制御と接続性

SkyPanel Xは、内蔵のワイヤレスコントロール、2つのイーサネットポート、LumenRadio CRMX 2、Bluetooth 5.0など、制御と接続性に関して広範な選択肢を提供している。IP66等級は、全天候型コントロールパネルにも適用。

SkyPanel Xは、新しいLiOS 3ソフトウェア上で動作。ライティングオペレーティングシステム(LiOS)は、ARRI LEDライトの革新的な機能を組み合わせて拡張したものだという。SkyPanel XのLiOS 3の特徴として、DMXモード仕様6.0、DMXユーザープリセット、マルチユニット制御用の配列設定、ALEXA 35および以前のALEXAまたはAMIRAカメラシステムのカラーサイエンスに対応した3つのARRI ALEXAモードが挙げられる。

新しいARRI LiCoアプリは、SkyPanel Xとモバイルデバイス間のBluetooth経由のダイレクトリモート通信をサポートする。ライティング設定は、照明器具の全天候型コントロールパネルと同様に、スマートフォンまたはタブレットを使用して直接調整可能。同アプリはiOSおよびAndroidデバイス向けに無償で提供され、App StoreおよびGoogle Play Storeで近日中にリリースされる予定。

正確なバーチャルライティングシミュレーションのために、SkyPanel Xはデジタルツイン技術に対応している。ARRI独自の同技術は、映画のライティングワークフローをプリプロダクションからポストプロダクションに移行させる。3Dモデル、本格的な機能、直感的なインターフェイスを備え、プロダクション環境の効率性、一貫性、創造性を高めるという。

SkyPanel Xの用途は、映画と放送から、ファッション、美容、製品撮影、ライフスタイルシナリオまで多岐にわたる。広い空間、夜間の建物の外観、太陽光などをシミュレートする場合などの広い照明範囲を必要とする用途で、SkyPanel Xは柔軟で優れたライティングを実現。同じ照明器具を複数の目的に使用しても、色の一貫性を保ち、制御を簡略化することが可能。この結果、SkyPanel Xは、高い投資収益率、技術的自由度、品質基準の向上、維持コストの削減をオーナーとユーザーにもたらすという。

SkyPanel Xのカラーはブルーシルバーで、単品または既定キットで予約注文が可能。追加のカラーやアクセサリは近日発表予定。

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