飛び込み寺内が引退会見「コーチなくして今の自分はいない」 競技人生振り返り恩師らに感謝

引退会見で自身の競技人生などを振り返る寺内健=14日午前、大阪府八尾市のミキハウス本社

 水泳の飛び込み男子で、日本勢夏季最多タイの過去6大会に出場した寺内健(43)=兵庫県宝塚市出身=が14日、所属先のミキハウス本社で引退会見を開いた。通算約30年間、国内の第一人者であり続けたレジェンドは「コーチなくして今の自分はいない。一緒に走ってきたからここまで戦えた」とJSS宝塚の恩師・馬淵崇英コーチら周囲への感謝を繰り返した。

 小学5年で競泳から転向。本場中国出身の馬淵コーチの厳しい指導を受け、宝塚市立光ガ丘中2年時に高飛び込みで日本選手権を史上最年少で制覇。「これが全ての始まり」と五輪を目指す原点になったと振り返った。

 出場した五輪6大会はいずれもメダルに届かなかったが、40歳で臨んだ2021年東京五輪では、競技後に会場が大きな拍手に包まれた。「2人でやって来たことが少しは認められたんだなと。最高だった」と思い出深い試合の一つに挙げた。

 その頃から、引退を考えるようになったという。昨年末に左膝の半月板を損傷。持ち味としていた厳しく追い込む練習ができなくなり、「それでは自分らしさが失われてしまう」と、プールを去ることを決めた。

 今後については未定としたが、「試行錯誤しながら自分の経験を伝えたい」と、後進育成にも意欲を見せた寺内。「どうしたら競技の楽しさや裾野を広げられるかわくわくしている」と目を輝かせた。(山本 晃)

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