【感染症ニュース】新型コロナ陽性45歳「39℃超の発熱・酷い頭痛と倦怠感、遅れて来た咽頭痛」看病の家族に感謝  処方された抗ウイルス薬『ゾコーバ』とは

まだまだ流行は収まらず

厚生労働省が9月8日に発表した2023年第35週(8/28-9/3)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は20.50。これで3週連続の増加となりました。特に東日本で高い傾向にあり、岩手、宮城、秋田では30を超えています。また、東京都(17.01)・大阪府(14.35)・愛知県(24.70)と言った大都市でも増加しており注意が必要です。

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今回、「感染症・予防接種ナビ」に寄せられたのは、愛知県・45歳の新型コロナ経験談です。

新型コロナウイルス感染症・経験談 愛知県・45歳

8/23(水)在宅勤務。仕事中なんとなく関節が痛いような気がした。夕食は美味しく頂き酒も飲んだ。夜、関節の若干の痛みや手足の冷えを感じ、冷房を効かせすぎたかなと思い熱いシャワーを浴びて早めに就寝。寝汗をかいて寝苦しくて何回か目が覚め、その時に初めて喉に少しの違和感を感じた。口呼吸で乾燥したかなと思い寝直したが、2時頃に突然悪寒がして震えが止まらなくなった。熱を計ったところ38.5℃あり、マスクをしてタオルケットに包まりながら朝を待った。

8/24(木)普段より早めに妻を起こし発熱したことを伝え、空き部屋に布団を運び隔離に入った。この時39.5℃。会社に休暇連絡し、かかりつけ医院に電話したところ、車中診断になるので2時間ほど後に来るようにとのこと。この時点では喉の痛みは大したことなく味覚嗅覚も正常だったので、コロナでなくインフルエンザの可能性もあるかと考えていた。病院に行き車中でPCR検査。狭い車内で一人で待つ時間が身体的に非常に辛かった。陽性判定が出て、緊急承認のゾコーバを処方してもらい帰宅。すぐに初日の3錠を飲んで横になった。妻は自分の発熱により出社見合せ在宅勤務になっており、飲み物や食べやすいヨーグルトなどを準備してくれており大変ありがたかった。この日は1時間ほど寝て水分補給に起きてを繰り返したが、熱は39.5℃前後から変わらず、酷い頭痛と倦怠感、ものすごい量の寝汗をかいた。

8/25(金)熱は相変わらずだが首と腰が痛くて寝ていられず、30分おきに寝て座っての繰り返し。食事は喉は痛くなかったが食欲がなくヨーグルトかゼリー。少し胸焼けを感じたのはゾコーバの副作用だったのかも。午後は38.5℃前後に下がり少し楽になり、夕食ににゅうめんを少し食べた。塩味がとても美味しく感じた。

8/26(土)熱が38℃前後となり、座っていられるようになった分、首と腰の辛さも和らぎ、頭痛も落ち着いてきた。一方で、急に喉が痛くなり咳が出るように。ただ体力が戻ってきてる感覚があったので、シャワーを浴び、昼食には牛丼を半分ほど食べた。午後からも喉以外は回復に向かい、熱は37℃前後、頭痛はなくなり、夕食は家族と同じメニューを軽めに食べれるように。夜の寝汗はまだ多かったが比較的まとまった睡眠が取れた。

8/27(日)熱は平熱に戻り、喉も少しの違和感のみ。回復期らしく食欲が湧き普段と同じように朝食、昼食を食べた。本人の感覚としては全快だか、家族にうつすリスクはまだある期間なので隔離部屋で大人しく過ごす。感染経路は会社で会話した同僚だった模様。自分も周囲に拡大させてないか不安。また家族は今のところ発症していないのが救い。妻と娘には、夏休み最後の週末を潰してしまい申し訳ない気持ちと、恨み言ひとつ言わず笑顔で世話してくれたことに大変感謝。

新型コロナウイルス感染症治療薬『ゾコーバ』とは?

ゾコーバは、昨年11月に新型コロナウイルス感染症治療薬として緊急承認されました。投与対象者は、高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状がある方などで、重症化リスクを有しない方が対象とされています。通常、12歳以上の小児及び成人には、1日目に3錠、2〜5日目に各1錠ずつ、1日1回経口投与されます。ちなみに、妊娠または妊娠している可能性のある女性には投与できません。また、授乳婦についても母乳に薬の成分が移行する可能性があるので、服用している期間には授乳できません。

感染症に詳しい医師は・・・

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「当院でもスタッフが感染した場合、ゾコーバを処方しています。当院では感染したスタッフはPCR検査を受けさせ、ウイルスが一定量以下になった場合職場復帰させていますが、ゾコーバを処方する以前は職場復帰まで10日近くかかっていたものが、ゾコーバを服用すると7日程度で職場復帰が可能な程度にウイルス量が減少します。また、症状の緩和も早くなっているようです。ゾコーバは、ウイルスの増殖を抑える効果があるため、症状の緩和も期待できると考えています。また、薬剤との正確な因果関係は分かりませんが、胸やけがあったとのことですね。副作用については、悪心・嘔吐などがメーカーから報告されていますが、現在のところ、私が診察した方からの報告はあがっていません。後遺症が残るなど、新型コロナは決して甘く見てはいけない感染症です。症状が重くなる前に医療機関に相談をし、治療薬を適切に使用していただければと思います」と語っています。

引用

厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」2023年第35週(8/28-9/3)、令和5年秋開始接種第1報(令和5年8月10日)、新型コロナワクチンQ&A

令和5年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料2-2 製造販売業者からの副作用報告の状況について

取材

大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏

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