「女性ならでは」に違和感 首相発言、時代遅れの声

再改造内閣が発足し、記者会見する岸田首相=13日、首相官邸(代表撮影)

 岸田首相が5人の女性閣僚を起用した内閣改造を巡り「女性ならではの感性や共感力を生かしてほしい」と発言したことに、専門家は「時代遅れだ」として、違和感を指摘する。女性という性別に対する固定観念に基づいた発言で、無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)が潜んでいると分析している。

 首相は13日の記者会見で、閣僚起用の方針について「適材適所だ。豊富な経験を持つ優秀な人材は多く、政策推進のため活躍できる方を選んだ」と説明した。一方、土屋品子復興相を紹介する際には「女性ならではの視点を生かした復興策に期待する」と言及していた。

 アンコンシャスバイアス研究所の守屋智敬代表理事は「一人一人の違いを置き去りにして、性別でひとくくりに決めつけている」との見方を示す。「思い込みがあると自覚し、聞き手にどんな影響を与えるか。多様な意見を聞きながら考えるのが重要だ」と助言した。

 松野官房長官は14日の会見で「政策決定には多様性の確保が重要であり、女性閣僚に個性と能力を十分に発揮してほしいとの趣旨」と語った。

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