「なにこれ何だろう?お出汁みたい」ボトル1本なんと2万円!お茶どころが“高級茶”で勝負する理由

750mlで2万円。驚きの価格がつけられた静岡茶の誕生です。静岡県島田市の製茶会社が発売したボトル入りのお茶は、衰退の一途をたどる静岡茶に一石を投じる存在です。なぜ、あえて高級茶で勝負するのか、その背景を取材してきました。

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国内外の多くの観光客でにぎわう東京・浅草。このほど近くにある倉庫を改装して作られた人気のバーで9月2日、試飲会が開かれました。

<試飲した人>
「なにこれなんだろう?お出汁みたい」

<試飲したイスラエル出身者>
「ベリーストロング、ベリーディープ、デリシャス」

<試飲したシンガポール出身者>
「とてもいい香り、中心の味がかなり濃い、私のお気に入り」

世界の人たちが感動したこの飲み物は、静岡県産の茶葉を使ったボトル入りの高級茶。合わせて3種類あり、最も高いものでは、750mlで2万円を超える値段がつけられています。

開発したのは、島田市の「カネス製茶」。責任者を務めたのは茶商の小松元気さん(29)。父が社長で、家業として茶の販売に携わっています。

<カネス製茶 小松元気さん>
「新しい消費の仕方として、世界に広げていけるのではないか」

2万円の高級茶、おいしさの秘密の1つが「茶葉」です。20年以上かけ開発を進めた「金谷いぶき」という品種を使用しています。地元の限られた農家しか生産していない貴重な品種です。香りが特徴的ということで、かがせていただくと…。

<滝澤悠希キャスター>
「甘い!紅茶の香りに近い、やわらかいやさしい甘みを茶葉の状態から感じられます」

もう1つ、お茶の「抽出方法」にも違いがあります。

<カネス製茶 小松元気さん>
「ボトリングティーの専門の製造工場になります」

この工場では、独自の細かなフィルターを使い、加熱処理をせずにお茶の抽出。沈殿物が一切なく、透明度の高い一杯に仕上がりました。

<滝澤悠希キャスター>
「苦いお茶ではない。うま味を感じるためのお茶。すごく味に深みを感じます」

一方で、茶業界をめぐっては心配な数字も。静岡県経済連によりますと、静岡県産のお茶の1kgあたりの平均市場価格は、ピーク時には、2,000円を超えていましたが、需要の減少などを理由に、2022年度は1,000円以下となりました。

価格が下がる中、なぜ高級茶で勝負するのか。背景には、“ブランド品”としてのお茶の立ち位置を確立したいという思いがありました。

<カネス製茶 小松元気さん>
「自分が思っているよりもみなさんお茶に価値を感じてくれている。新しい飲み方のスタンダード、高級茶を飲もうっていう時に、ボトリングティーで飲むことをスタンダードにしていきたい」

日常に根ざすだけでなく、特別な日の一杯にも。静岡が誇るお茶は、時代の変化に合わせてさらなる進化を遂げています。

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