阪神が18年ぶりにプロ野球セ・リーグを制覇した14日夜、鹿児島県内の虎ファンは熱狂に包まれた。7月に28歳で亡くなったOB横田慎太郎さん(鹿児島実業高校卒)のユニホームがスクリーンに映し出されると、感極まって涙を浮かべる人もいた。
鹿児島市の飲食店「英国風バル BIGBEN」では、私設応援団「鹿児島猛虎会」のメンバー約30人が太鼓のリズムに合わせメガホンを打ち鳴らした。両チーム無得点で迎えた6回、4番大山悠輔選手の犠飛で先制すると、総立ちで応援歌を大合唱した。
店の壁には横田さんのユニホームが掲げられた。9回に1点差まで詰められるなどひやりとする場面もあったが、「慎太郎がついているから大丈夫」。リーグ優勝が決まった瞬間は「万歳」と両拳を突き上げた。
鳥井ケ原昭人会長(74)=鹿児島市=は「慎太郎が野球の神様になって見守ってくれた。感謝を伝えたい」と興奮した様子。霧島市国分の会社員久保一美さん(54)は「最高にうれしい。慎太郎も天国で喜んでいるはず」と目を細めた。
鹿屋市の阪神ファンが集まる飲食店では地元のファン組織「愛虎会」のメンバーやその家族11人がユニホーム姿で声援を送った。9回表を守り抜いて優勝が決まると、隣の駐車場に移動してビールかけ。全身で快挙を祝った。
同市の介護職員河村忠臣さん(50)は、父親が大阪府出身で「年齢=ファン歴」と公言する生粋の“虎党”。妻や子ども2人も阪神ファンで、4人で店に駆けつけた。忠臣さんは「『アレ』の次は迷わず日本一」。長女の奈々未さん(19)は「物心ついた時から阪神ファン。みんなで一緒に勝利を分かち合えて幸せ」と喜びを爆発させた。