「絶対無理」から全試合出場 バレー男子U19日本代表・塩塚修世(長崎総合科学大付高3年)

「何もできないと思っていた」U19世界選手権でベストディガー賞を手にした塩塚=長崎市、長崎総合科学大体育館

 8月2~11日にアルゼンチンで行われたバレーボール男子のU19世界選手権で、長崎総合科学大付高3年の塩塚修世が躍動した。それまで九州大会にも出たことがなかった身長168センチのリベロが、いきなり国際大会でデビューして全試合に出場。「経験したことのないことばかりで衝撃だった」と日の丸を背負った夢舞台を振り返る。
 橘小2年から始まった競技生活は、決して順風ではなかった。当初は姉2人が所属していた女子チームで一緒に練習。男子チーム発足後も小所帯で、橘中に入学してから1年間も、部員不足のために梅香崎中と合同で大会に出場していた。身長は常に「前から数えた方が早かった」が、ポジションはチーム事情からスパイカーを含めて何でもやった。
 そんな環境だったが、熱心な指導の下で成長。中学3年時にリベロで県選抜メンバー入りした。だが、コートに立つはずだった年末のJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗大会がコロナ禍で中止に。「同世代は力があると言われていたから、もし大会があれば上にいけたのかな」。悔しさが残った。
 長崎総合科学大付高では1年時から出場。「守備の要なので誰よりも返球率を高く」と持ち前の瞬発力とレシーブの精度を求め続けた。松林修一郎監督が「勉強もサボらずに人間性はしっかりしている」と評するように、今季は主将としてもチームをけん引。その真摯(しんし)な姿勢が高校最後の夏に認められた。
 3回戦で敗れた6月の県高総体で引退するつもりだったが、7月にU19日本代表に選出。大村工高などインターハイ出場校の選手を除くメンバー構成だったが、予想だにしていなかった吉報だった。「テレビなどで見ていたすごい人たち」と一緒に国内合宿を経て初めて海を渡った。
 「自分じゃ絶対無理」と思っていた国際舞台は全8試合に出場。チームは20カ国中11位に終わった中、スパイクレシーブなどが評価されるベストディガー賞も手にした。「外国人選手の高さ、生活、とにかくすべてが驚きだった。任される守備範囲も今までにない広さで、自分の視野の狭さを感じた。でも、意外とやれたかな」と笑顔で振り返る。
 「挑戦」の大切さをかみしめつつ、競技生活は高校で一区切りつける予定だ。「それだけの経験をしたんだから」「一緒にやろう」-。周囲からは継続を求められているが「自分の中ではやりきった。新しいことに挑戦したい」と思っている。
 集大成の舞台と位置づけているのは、県王者の大村工高以外から唯一メンバー入りした10月の鹿児島国体。「バレーを通して得たものは、めげないメンタル。県選抜の一員として貢献できるように残り約1カ月、しっかり力をつけて悔いなく終わりたい」


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