中国禁輸でナマコ市況低迷・買い手なし、漁当面見送り 横浜町漁協(青森県)

横浜漁港に水揚げされたナマコ=2021年12月

 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に伴う中国の水産物輸入停止措置などを受け、横浜町漁協(二木春美組合長)が10月に予定していた「桁網(けたあみ)」によるナマコ漁を当面見送ることが14日、同漁協への取材で分かった。価格低迷が予想され、ナマコを購入する業者もないため。今後、市況の動向や、国と東電による補償・賠償の状況を見極めて、漁の実施を判断する方針。

 「横浜なまこ」は特許庁の地域団体商標に登録されている同町のブランド。毎年、年末に同町沖の陸奥湾で桁網を下ろし、海底から引き揚げるナマコ漁を行い、正月の定番料理として親しまれてきた。しかし、昨年末は水揚げ量の急減などにより漁を中止。加工用として輸出される大型ナマコが高値で取引される今年10月に漁を実施する予定だった。

 同漁協によると、中国の水産物輸入停止措置後、北海道ではナマコの価格が低迷。仮に10月に漁をしても業者は買い取らない方針を示しているという。同漁協は補償・賠償の状況を見極め、ナマコの価格が上向くなど市況の改善が確認できれば、漁の実施について検討していく。

 10月のナマコ漁見送りは8月31日の理事会で決定。今月12日に組合員に文書を発送した。

 二木組合長は「価格が下がり、買い手もない状況では漁ができない。昨年末に中止した経緯もあり、買い手があれば、漁を始めたい」と語った。

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