つけそば屋 やまいも 〜 つけダシから麺・器までこだわりが詰まった総社の「つけそば」専門店

つけそば(つけ麺)は好きですか?

ラーメンに比べると少し地味な印象かもしれません。

しかし東京など都市部では、つけそばの専門店もある人気のメニューなんです。

そんなつけそばの専門店が、総社市にあります。

それが「つけそば屋 やまいも(以下、やまいも)」。

2種の麺が楽しめるこだわりのつけそばのほか、油そばやオリジナルメニューのとろ玉なども人気です。

総社のつけそば専門店・つけそば屋 やまいもについて、歴史やこだわりを深掘りします。

やまいもは総社市役所前にある、つけそば専門店

やまいもは総社市役所のすぐ北側にある、つけそばの専門店です。

老舗の洋食店「ブーン」や、カレー店「シャカスパイス」などと同じ建物の一角にあります。

ラーメン店は多いですが、つけそばがメインの店は少ないですよね。

やまいもではこだわりのある独自のつけそばをはじめ、油そばやサイドメニューなども楽しめます。

もともとやまいもは、総社市商店街通りにある古民家シェアキッチン「つながるカフェ 線」で「麺処 すだち屋」として営業していました。

その後、2020年9月に現在地に現店名でオープンしたのです。

店内に入ると、手前に2人がけテーブル席が2卓配置されています。

そして店の奥に厨房と、カウンター席が6脚です。

なお、やまいもには駐車場はありませんが、約300m離れたところにある居酒屋「旬菜坊や」の駐車場に昼営業に限り駐車できます

やまいものメニュー紹介

2023年(令和5年)8月時点の情報。価格は消費税込

やまいもはつけそば屋なので、もちろん「つけそば」がメインです。

通常のつけそばのほか、ヤマイモのトロロとウズラの生卵が入った「山かけつけそば」も人気があります。

このほか、つけそば以外にも「油そば」やたっぷりのトロロが載ったラーメン「とろ玉」も。

つけそばなどの麺類以外に、「とろろめし」「とりめし」「焼おに茶漬け」などの飯ものもあります。

注目なのは、「替玉」です。

細麺の替玉

替玉は、注文時と同じ平打ち麺全粒粉入りの細麺2種類を選択できるのです。

細麺の替玉

また、つけそばの残ったつけダシを飲む場合、割湯も可能。
希望の際は、店員に声をかけてください。

おすすめ・人気のメニュー

数あるやまいものメニューのなかから、店のおすすめやお客から人気のメニューを紹介します。

つけそば

やまいもの看板メニューである「つけそば」。

麺は冷たい「冷盛」が基本ですが、希望すれば温かい麺の「温盛」も可能です。

取材時は、冷盛にしました。

白と青の美しい皿に麺が盛りつけられているのが、とても印象に残ります。

そして、麺とともに2種の肉類が盛りつけられているのもポイントです。

白っぽい色の肉は、鶏ハム。

そして紅色をしているのがローストビーフで、2枚盛りつけられています。

赤茶色をしたつけダシの中には、たくさんのネギ。

つけダシは、甘みのある醤油風味で、魚介の風味が豊かに香ります。

麺は、つややかな中太平打ち麺です。

麺をつけダシに付けてすすり上げると、モチモチとした食感でツルッとしたのど越し。

麺に温かいつけダシがよく絡んで、おいしいハーモニーを奏でます。

なおスダチとおろしワサビが付いているので、好みに応じて入れましょう。
途中で味を変化させて食べるのもおすすめです。

またさきほど紹介したように、替玉は2種類の麺が選べます。

替玉で細麺を選んで、別の食感の麺を楽しんでみてはいかがでしょうか。

山かけつけそば

過去の訪問時に撮影

山かけつけそば」は、一番人気のメニューです。

つけそばの麺の上に、ヤマイモ(ナガイモ)のトロロをタップリとかけたもの。

中央にはウズラの生卵が入っています。

過去の訪問時に撮影

麺やつけダシは、通常のつけそばと同じもの。

山かけつけそばは、ヤマイモのトロロが好きな人におすすめです。

油そば

油そば」は、いわゆる「まぜそば」です。

麺の上に鶏ハム1枚、ローストビーフ2切れ、タップリのきざみネギに、魚粉が載っています。

そして麺の下には、少量のツユ。

麺は、つけそばと同じ平打ちの中太麺です。

食べると、ツユから感じる野菜や鶏の脂の甘い味わいに魚介の風味が香ります。

麺はモッチリとした弾力ある味わい。
そこにツユの風味が絡みます。

ローストビーフは、ムチムチとした弾力ある歯ごたえです。

噛むたびに肉の味わいが染み出てきて、黒コショウの風味とともに広がってきておいしい。

味が濃そうな印象でしたが、意外とペロリと食べられました。

とろ玉

やまいもには、オリジナルのメニューもあります。

そのひとつが、「とろ玉」。

ラーメンの上に、トロロがタップリとかかっています。

食べるとヤマイモの強いとろみのなかにシャキシャキとした食感、ダシや野菜・鶏の脂などの味わいがし、サッパリとした後口です。

それが、麺との相性抜群。

ヤマイモ好き、トロッとした粘りのあるものが好きな人におすすめの一品です。

とりめし

とりめし」も人気のサイドメニューです。

ごはんの上には鶏ハムがタップリと載っています。

さらにその上から、ネギと海苔がちりばめられ、ワサビが添えられています。

とりめしには生醤油タレがかかっており、鶏ハムやごはん、海苔、ワサビなどとよく合う味わいです。

サッパリとした味わいなので、つけそばや油そばといっしょに食べやすいと思います。

つけそば専門店という総社にあまりないスタイルの店、つけそば屋 やまいも。

店主の山中菜津美(やまなか なつみ)さんにインタビューをしました。

やまいもの店主・山中 菜津美さんへのインタビュー

つけそば専門店という総社にあまりないスタイルの店、つけそば屋 やまいも

店主の山中菜津美(やまなか なつみ)さんに開業の経緯やこだわり、今後の展望などの話を聞きました。

「主婦のラーメン店」の番組に感動しラーメン研究に没頭

最上稲荷への出店時(写真提供:やまいも)

──開業の経緯を教えてほしい。

山中(敬称略)──

飲食店を目指したきっかけは、かつて福山のとあるレストランに行ったとき、味や店の対応などに感動したことです。

その後は、さまざまな飲食店や飲食にかかわる会社などで働きました。

あるとき、テレビ番組で主婦がラーメン店を開業したという特集を見たんです。

番組を見て「カッコいい!」と感動し、ラーメンをつくりたいと思うようになったんです。

以降、自宅で自らラーメンをつくるのが趣味となりましたね。

インターネットなどで調べて試行錯誤しました。

なかなかうまく味を出せず、苦戦したのを覚えています。

趣味で始めたラーメン研究が高じて商売に

つながるカフェ線での営業時(過去の訪問時に撮影)

──ラーメンの道へ進んだ転機は?

山中──

転機は、2019年(平成31年)1月のことです。

父の紹介で、正月に最上稲荷の参道でラーメンの露店を出せることになりました。

なかなかないチャンスなので、「麺処 すだち屋」という名前で出店したんです。

3日間だけだったのですが、手応えを感じました

なによりお客様の「おいしい」という声が、ダイレクトに伝わってきたのがうれしかったです。

さらに同じ年に友人の紹介で、総社宮でやっていた朝市にラーメンの露店「麺処 すだち屋」を出店

すると非常に好評で、大変に忙しかったですね。

そして朝市がきっかけで、総社宮の向かいにある古民家シェアキッチン「線」でラーメン店「麺処 すだち屋」を週一で出せるようになりました。

2019年の7月4日のことです。

なお店名は、当時の看板メニューがスダチを使った「すだちラーメン」だったからです。

シェアキッチンでの営業から独立店舗へ

──シェアキッチンから独立して店舗営業になったのは?

山中──

シェアキッチンでの営業は大変好評で、口コミでお客様が増えていきました

営業開始から1年くらい経ったころ、飲食店の経営をしている友人から突然連絡があったんです。

店舗が空くから、そこで営業してくれないかと。

その店舗が、現在やまいものある場所でした。

どうしようか悩んだのですが、せっかくのチャンスなので、思い切って独立店舗で営業することを決意したんです。

それで2020年(令和2年)5月で「線」での営業を終え、9月4日に現在の場所で「つけそば屋 やまいも」をオープンしました。

実は「やまいも」というのは、イモのヤマイモではなく、私の愛称に由来しています。

私には姉がいるので、「山中・妹」を略して呼ばれるようになりました(笑)。

独立を機に新たなアピールとして「つけそば」をメインメニューに

かつてメニューにあった「すだちラーメン」(過去の訪問時に撮影)

──線のときは「すだちラーメン」がメインだったが、やまいもでは「つけそば」がメインになった経緯は?

山中──

自宅で試行錯誤した末に、おいしいラーメンができたと思ったのが「すだちラーメン」でした。

その後の露店時代でも、すだちラーメンが看板。

線での営業となり、メニューを増やそうと思ったんです。

せっかく新メニューをつくるなら、まだ挑戦したことがないメニューにしようと考えました。

そこで思いついたのが、「つけそば」と「油そば」。

ラーメンのときと同じように、独学で試行錯誤して完成させました

じょじょにつけそば・油そばも人気が出てきて、すだちラーメンと並ぶ人気メニューになったんです。

それで独立店舗になるとき、いままでとは違った部分をアピールしたいと考えて、つけそばをメインにすえました。

しばらくはすだちラーメンもメニューに入れていたんですが、いまはすだちラーメンはメニューから外しています。

ひとつひとつ手づくりにこだわる

「とろろめし」はダシ入りのトロロがごはんの上にタップリとかかる

──店の特徴やこだわりは?

山中──

食材は既製品を使わず、ひとつひとつ手づくりをしていることですね。

たとえばトロロだと、新鮮なヤマイモ(ナガイモ)を仕入れ、自分で毎日すりおろしています

ダシも岡山県産の親鶏瀬戸内のイリコ山陰のトビウオを使っています。

「焼おに茶漬け」は焼おにぎりの香ばしさとダシの風味のハーモニーがいい

あとつけ麺では、中太の平打ち麺と全粒粉入りの細麺の2種あるのが特徴。

基本となる中太平打ち麺は加水率がやや高めで、モチモチとした食感とツルッとした舌触りやのど越しです。

中太平打ち麺は、油そばでも使用しています。

細麺は、やや力強い歯ごたえです。

また、とろ玉ではまた違った麺を使っています。

北海道産の小麦を使用した、小麦の風味が強めの麺ですね。

あとは、つけそばで使っている器にはこだわりがあります。

沖縄県でつくられている「うるま陶器」というものです。

知人から紹介されたもので、見た目のきれいさに一目ぼれしたことがキッカケでした。

新たなステージを目指して移転・リニューアルも視野に

つけそばで使う皿は、沖縄県の「うるま陶器」(写真提供:やまいも)

──今後の展望ややってみたいことは?

山中──

これまで露店からシェアキッチン、独立店舗へとステップアップをしていきました。

さらなる次のステップとして、郊外などで少し広めの敷地の店舗で営業するのもいいかなと思っています。

いまは街中ですが、自然の豊かな場所で飲食店をしてみたいですね。

実は移転の計画もしていて、新たなステージを目指したいと思います。

そのときは、つけそばやラーメンにこだわらず、新たな分野への挑戦も視野に入れたいですね。

やまいもは総社市役所前でこだわりのつけそばが楽しめる店

岡山県では数少ないつけそば専門店のやまいも。

ツルツル・モチモチとした麺と、こだわりのつけダシは絶妙なハーモニーです。

しかも2種類の麺が楽しめるので、ぜひ替玉をして違いを楽しんでみてください!

油そばや、ヤマイモを使った山かけつけそば、とろ玉、とろろめしもどうぞ。

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