保有選手45人&監督解任…新生レイラック滋賀の新指揮官、菊池利三が「J昇格のためにプラスすること」

今季のJFLの序盤戦で最も輝いたチームといえるレイラック滋賀FC。

「MIOびわこ滋賀」というクラブ名で臨んだ昨シーズンはJFL最下位に沈み、奈良クラブとFC大阪がJリーグに昇格したためにタナボタで残留に成功したという立場であった。

しかし今季に向けて「レイラック滋賀FC」と名前を変えてクラブを一新すると、序盤戦ではセットプレーと固い守備を武器に勝利を重ね、一時は首位に立つほどの強さを見せた。

だが、5月に行われた天皇杯2回戦のアルビレックス新潟戦あたりを境に調子が低下し、ホームでの勝利は5月28日のブリオベッカ浦安戦が最後。アウェイでも7月1日の東京武蔵野ユナイテッドFCにしか勝っていない。

そこでクラブはこの夏に9人もの補強を行い(そのうち井上航基のみアスルクラロ沼津の事情により復帰している)、チームを一新。一時は47名もの大所帯となった。

さらに9月3日のブリオベッカ浦安戦で引き分けたあと、今季開幕から指揮を執ってきた寺峰輝前監督を解任するという大鉈を振るうことを決めた。

その後任として監督となったのは、今季からヘッドコーチとしてトレーニングを見ていた菊池利三氏。

現役時代はヴェルディ川崎やガンバ大阪、サンフレッチェ広島などでプレーした名選手で、昨年まではいわてグルージャ盛岡でジェネラルマネージャーを務めていた。

今季は開幕前にレイラック滋賀のヘッドコーチに就任し、寺峰輝前監督の片腕としてチームをマネージメントしてきた立場である。

これまで見てきたチームが持っているものをそのまま生かすのか。それとも壊して新しい何かを求めるのか。菊池利三新監督にとっても難しい舵取りとなったはずだ。

そして新体制となって数日で迎えた初の試合。相手はミネベアミツミFC。今季「ホンダロックSC」からクラブ名を変更し、新たなスタートを切った企業チームである。

成績はJFlで下位に沈んでいるものの、ストライカーの日野友貴はリーグ得点ランキング首位に立っており、このカテゴリーでは傑出した選手の一人。彼が生きれば、チームの実力はトップレベルに迫るものになる。

レイラック滋賀FCとミネベアミツミFCの試合は9月10日の13時、東近江市にある布引グリーンスタジアムでキックオフされた。

試合は前半を0-0で折り返したものの、後半には互いにゴールを奪い合う展開に。

49分に一瞬の飛び出しからミネベアミツミFCの日野友貴が先制点を決めると、それからまもなくレイラック滋賀FCが榎本大輝のドリブルでチャンスを作り、海口彦太が同点弾を奪う。

さらに61分には日野友貴が追加点を決めてミネベアミツミFCがリードを奪うも、その直後に榎本大輝のドリブルを止めた牧野翔太が退場に。これによってミネベアミツミFCが10人の状況となる。

攻め込むレイラック滋賀FCは78分にセットプレーの流れからDF宮城雅史がオーバーヘッドキックを放ち、それを途中出場の和田凌が押し込んでタイスコアに持ち込むも…。

試合はそのまま2-2で終了。新体制となったレイラック滋賀FCであるが、初戦を勝利で飾ることはできなかった。

ただ、イベントが行われた布引グリーンスタジアムには1000人以上のサポーターが詰めかけ、注目度の上昇を見て取ることもできた。

試合後、レイラック滋賀FCで初の公式戦指揮となった菊池利三監督は以下のように話していた。

菊池利三

「本当に残念な結果でした。失点の場面を振り返ればとてももったいないものでしたが、サッカーは相手もゴールを目指し、そして失点を逃れようとするもの。

それがサッカーの本質ですので、あと1点を取るためにこじ開けられなかったことは次への課題だと思いますし、これが今のチーム状況です。それをもっと突き詰めて選手を成長させるところが大事だと思います。

就任以降に選手たちとミーティングで共有していたのは、今から大きく何かを変える、戦術的なものをチェンジするというのはリスクしかないという点です。

今まで寺峰監督とともにコーチという立場で積み上げてきたものを継続する中で、サッカーを突き詰めて、磨き上げていく。

中断期間に新しい選手を補強していただきましたし、もっといいパフォーマンスを、そして見ている人がワクワクするような試合をしたい。

中断期間の前には相手のペナルティエリアに入っていく回数が少なかったので、その点についてはこれからもっとトレーニングで積み重ねていきたいです」

JFL残りが11試合という状況で迎えた初指揮の試合。戦術的な変更によるリスクを抱えないようにしながら、よりゴール前に入っていくプレーを増やしたいと考えているとのことだ。

今季でのJリーグ参入に向けては2位以内に入ることが条件の1つとなっている。2位のソニー仙台FCは試合数が1つ少なく、現状の勝点4以上の差がある状況だ。

レイラック滋賀にとってはこれからの10試合は1つも落とすことができないもの。新体制で攻撃面を改善させ、勝利を重ねることができるだろうか。

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JFL第21節、レイラック滋賀FCは9月16日に岡崎市龍北総合運動場でマルヤス岡崎とのアウェイゲームを戦う。キックオフは午後3時の予定だ。

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