黒犬と、夏の終わりのご近所散歩

こんにちは、フォトグラファーの吉田パンダです。ソファの上で放心状態なのは元気だけが取りえの黒い悪魔犬、スキッパーキのスキ。庭で走り回っている時に、後脚の狼爪(ろうそう)を折ってしまいました。消毒して包帯で固定、獣医師への予約を取ったところです。折れた爪が痛いというよりも、「包帯が邪魔で気分が悪い」らしいのですが、致し方ありません。

というわけで、場面は診察室へ。隅に置いてある体重計でスキを測ったら、4.7kg→5kgとちゃくちゃくムッチリーニへの道を歩んでいました。いかんいかん。

「それは太り過ぎでは!?」

と、ご近所のムチムチマルチーズさん。

「だって、ご飯だけが楽しみなんじゃーい!」

と、黒犬さん。そうだよね。でもまあ、脚に負担がかからない程度に抑えないと。

壁には近くのエルバージュで「フレンチブル8匹生まれました」のお知らせが。頭でっかちな仔犬はほんと可愛いですね。

結局折れた爪を先生はポキリと除去、消毒して包帯巻いて終わりでした。爪を根元から除去する手術もできるけれど全身麻酔が必要なので、急がず様子を見て考えた方がいいということで、今回は応急処置のみで。それから3日ほど自宅で様子を見て、久しぶりにスキと外へ散歩にでかけました。

セーヌ川沿いのオブジェにはヤモリ。

気になっていた爪もなくなって、すっかり元気になったスキ。爪はこまめに切ろうとは思うものの、黒犬はどこからが血管かわかりにくく、つい長めに放置してしまうんですよねえ。

川沿いを歩いて、新しくできたカフェに向かいます。

意外に木陰は少ない散歩道。容赦のない夏の日差しからは、逃げ場がありません。

何を買うわけでもないんですが、ついのぞいてしまうのがブロカント・アンティークショップというもの。

さて、自宅から20分ほど歩いて、3日前にオープンしたばかりというモロッコ風ご近所サロン・ド・テ「Tata La Gourmande」に到着です。

「あー、そこのメガネくん、アイスコーヒーとホロホロ鳥のシュプレームを頼むよ」

はい、それも良いですが、本日はおすすめのオーガニック牛皮のプレスバー(いつものオヤツ)をご用意しておりますです、ムッシュー。

「なんだか居心地がいいな!」

ソファ席があってよかったね。

冷房はないんですが、室内にいるだけで涼しく感じられます。

アイスカフェラテにアイスティー。その昔、と言っても15年ほど前でしょうか。フランスではカフェのメニューに当時、アイスコーヒーもアイスティーもありませんでした。それがいつの間にか当然のようにメニューに載るようになったのはさて、いつ頃だったか、、。パリで大流行のラーメンにハンバーガーといい、食文化も日々変わりつつありますね。

カフェのオーナー、マリカさん。数年前まではパリのカフェで働いていました。「私にはパリの喧騒はもう十分。自然が近くて、もっと落ち着いたところに住みたくてこちらに来たのよ」

ちょっとテーブルが小さいですが、全て手作りという野菜サラダと、ツナと卵のピタパンサンドイッチ。

サラダの中心にあるのはオリーブのタプナードにイチジクとニンニクを加えた、マリカさんオリジナルタプナード。買って帰りたいくらいにこれが美味しかったので、次回は小瓶か容器持参で譲ってもらおうと思っています←わがままオーダー。

帰りは教会の裏手に新しいギャラリーができていたので、こちらにもお邪魔しました。

イギリス出身、画業一筋30余年のマリー=ノエルさん。このギャラリーは息子がアパートを購入し、改装した1階にオープンしました。

小さな町にある、古い教会の裏通りに面した、風通しの良いギャラリー。夏を思わせる白い入り口を額のように彩る、時計草。ミサを告げる鐘の音が響けば、それこそここが絵になりそうです。黒犬スキとご近所散歩でした。次回はパリを歩きます。

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