投資に回してはいけないお金は?「初めての投資」で気をつけたいこと

「今度こそ投資を始めたい!」…そう思っている人はいませんか?

でも、そもそも自分が持っているお金を、「本当に投資に回してもよいのだろうか…」と悩み、立ち止まっている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「投資に回してはいけないお金」をチェック。初めて投資をする人が考えるべきポイントとあわせてお伝えします。


「投資は余裕資金で」の、“余裕資金”って何?

「投資は、余裕資金で行いましょう」という言葉を耳にすると思います。筆者も、文字数が限られたアドバイスの場合に、端的にそうお伝えすることがあるのですが、「そもそも“余裕資金”って何?」と思う人もいるかもしれません。

余裕資金とは、簡単にいうと「なくなっても困らない、余裕のあるお金」のこと。「そのお金がなくても、日常生活で困らない」、そして「今後5年くらいは、そのお金がなくてもやりたいことが叶えられるお金」と考えるとよいでしょう。

投資を、なぜ「余裕資金で行うこと」が大切かというと、投資は不確実なもので、資産が増えたり減ったりと、予想外の動きをするからです。増える分にはよいですが、予想外に減ってしまって、家賃や住宅ローンが支払えなくなったり、子どもの学費が出せなくなったりしたら困りますよね。また、1年後に車を買い替える予定だったのに、そのお金の一部の50万円や100万円を投資に回してしまい、その1年後に大暴落が起きてしまったらどうでしょうか。車の買い替えを諦めるか、希望より安いものから選ぶことになり、予定が狂ってしまいます。

そこで、“余裕資金”の出番です。今後5年以上、しばらく使わないお金を投資にまわしているのであれば、大暴落が起きたとしても、慌てて売却しなくてもいいですし、再び相場が復活するのを待てるかもしれません。

そのため、まずは「日々のお金は足りているか」「今後5年以内に大きなお金を使う予定はないか」を考えてみましょう。そして、「この投資に回すお金は、本当にこの5年以内に減ったり、なくなったりしても大丈夫な“余裕資金”かな?」と、しっかり確認したいですね。

5年以内ではないけれど、「要注意なお金」とは?

ただし、5年以内ではなく、もっと先に使う大きなお金で、大事に取っておきたいものがあります。代表例として「生活防衛資金」「住宅費」「教育費」の3つを紹介します。

1.万一に備える「生活防衛資金」は生活費の半年分くらい

今は毎月お給料を受け取っていても、いつケガや病気で入院したり、仕事を辞めたくなったり、会社が倒産したりするかは、誰にもわからないものです。その際には、ある程度の公的保障はあるものの、当面半年分くらいは生活ができるような「生活防衛資金」を持っておくことは、日々の安心感にもつながります。

月の生活費が20万円なら120万円を、生活費が30万円なら180万円ほどを目安に、いつでも使える預貯金でとっておき、投資は回さないようにすることがおすすめです。フリーランスの人の場合、会社員に比べて公的保障が劣る場合が多いため、できれば1年分くらいの生活費を取っておきたいところです。

2.「住宅購入の頭金」または「住宅ローン繰り上げ返済費」をチェック

住宅を購入する際の準備費用や、繰り上げ返済の費用は、基本的には数十万円、数百万円と大きなお金を使うことになります。

近い将来に住宅を購入したいと考えている場合は、頭金や諸費用として、ある程度預貯金も準備しておきたいところです。だいぶ先の場合なら、資金を投資に回してもよいとも感じますが、投資は不確実なものですので、預貯金と投資とを分けて、用意するのがよいでしょう。

また、「住宅ローンの繰り上げ返済」を考えている人もいると思います。住宅ローン減税が残っている間はその恩恵を受け、終わったときに繰り上げ返済をしようと考え、繰り上げ返済費を少しずつ貯めていっている人もいるでしょう。「え? 繰り上げ返済費なんて準備していない」という人は、もし変動金利で借りているなら要チェックです。ここしばらく超低金利が続いていますが、金利が上がる可能性もあります。その際、月々のローン返済が上がって負担が重くなります。そんなときに、繰り上げ返済費として貯めていたお金で、一部返済すれば負担が軽くなります。

そのお金も、いつ使うお金かわからないですが、余裕資金だと思ってすべてを投資に回すのではなく、一部は預貯金で持っておけるとよいと思います。

3.「教育費」の準備をチェック

子どもがいる方は、「教育費」の準備ができそうかをチェックしましょう。教育費は、一般的には2つの時期に分けて考えます。

一つめは、0歳~高校生までの学費や塾代、習い事代。これらのお金は、できるだけ貯蓄を取り崩さず、日々の家計やボーナスなどから出していくことがセオリーです。

子どもの人生ですから、「習い事を増やした」「習い事が上達してステップアップすることに」「中学受験をすることに」「公立高校だと思っていたら、私立高校へ」など、予想外のことが起こります。子どもが生まれたら、家計に余裕がある状態で他の生活費を少し引き締めておきたいですね。

二つめは、大学進学費用を、子どもが0歳のうちから準備していくこと。高3夏までに、国公立大進学なら300万円以上、私立大学進学なら500万円以上を準備するのが目安です。

そのお金の準備ができそうか(目標金額に向けて、月々貯めているお金があるか)を確認したうえで、すでに教育費として貯めているお金は、将来使うお金ですので大事に確保しましょう。

奨学金という選択肢もありますが事前に、奨学金を借りずにマネープランを立てられるなら、それに越したことはありません。なぜなら、子どもが大学卒業後に自分で返還しなくてはならないため、借金を背負った状態で社会に出ることになってしまうからです。もし就職がうまくいかなかった場合や、思うように収入が得られなかった場合など、子どもが大変な苦労をしてしまうので注意が必要です。

教育費を使う時期まで10年程度以上ある場合は、預貯金だけでなく、つみたてNISA(2024年からは新NISAのつみたて投資枠)を並行して積み立てていくのもよいと思います。

少額の積み立てなら、今すぐにでもOK

まとまったお金のうち、「投資に回してもよいお金、回してはいけないお金」について、なんとなくイメージがつかめましたか?

まとまったお金ではなくとも、月1000円や3000円くらいを、月々の家計から出せるのであれば、超初心者の方でも、すぐに投資を始めてOKだと思います。今からつみたてNISA(2024年からは新NISAのつみたて投資枠)で、コストの安い投資信託を積み立てていき、投資に慣れてみるのもよいでしょう。

ただし、このお金も「今すぐ、もしくは5年以内に使う予定ではない“余裕資金”かどうか」を念のため確認しておいてください。少額で投資経験を積んでおけば、いつか「まとまったお金で投資したい!」と思ったときに、大きな失敗を防げるかと思います。

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