子ども1人3万円給付 青森県補正予算案 物価高対策に総額118億円

 青森県は15日、物価高騰対策の一環で、県内に住む0~18歳の子ども1人につき3万円の「応援金」を給付する県独自の支援策を発表した。20日開会の定例県議会に関連経費50億6千万円を盛り込んだ2023年度一般会計補正予算案を提出する。物価高に苦しむ住民や事業者を支援する市町村向けの交付金として30億円を計上。補正予算総額は205億8263万円で、このうち物価高騰対策関連は118億7568万円に上る。

 応援金事業は、05年4月2日~24年2月29日に誕生した子ども(約16万3千人想定)が給付対象。児童手当の受給世帯は市町村を通じて受給口座に、高校生を持つ世帯などは申請した上で各自の口座に振り込まれる。所得制限は設けない。

 事務を担う市町村などの対応次第で、早ければ年内にも給付される。給付額は青森市の消費者物価指数(6月)を参考に、食料品や光熱費などの上昇で各世帯で3万円ほど増えた年間支出額を目安とした。子育て家庭に特化した大規模な支援策を講じる理由について、宮下宗一郎知事は記者会見で「物価高騰の影響を最も多く受ける世帯」と説明。さらに「子どもたちなくして青森の未来はない。そこに大きな財源と政策を集中させていく方向性を示した」と語った。

 市町村への交付金は、高齢者や低所得者らをはじめとする支援事業を想定し、使途を市町村に委ねる。交付額は人口規模に基づいて算出し、1市町村当たり1千万円超~1億円超の見通し。40市町村長へのヒアリングで最も要望が多かった「自由に使える交付金」を実現させた形だ。

 物価高関連は1次産業や中小企業への支援も手厚く盛り込んだ。宮下知事の公約実現に向けた経費として、全ての県立学校にICT(情報通信技術)教育サポーターを配置する事業費なども計上した。

 今回の予算案は、宮下知事が就任後初めて本格的に編成した。補正によって23年度一般会計は総額7702億5827万円(前年度同期比0.2%減)となる。財源は国庫支出金42億3072万円、繰越金37億5672万円、普通交付税30億7768万円など。財政調整用基金からも国庫返還金を除いて約30億円を充当する。宮下知事は「決算時の20億~30億円の調整は毎年あり、これから国の経済対策もあるので(財政規律の面は)全く問題ない」と述べた。

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