市川猿翁さん死去、83歳 スーパー歌舞伎を創設、宙乗り

人力車に乗り「お練り」に参加した、二代目市川猿翁を襲名する市川猿之助さん=2012年4月、東京・渋谷

 現代的な舞台「スーパー歌舞伎」の創設者で宙乗りをはじめとするスペクタクルな演出などで人気を集めた歌舞伎俳優で文化功労者の市川猿翁(いちかわ・えんおう、本名喜熨斗政彦=きのし・まさひこ)さんが13日午前6時55分、不整脈のため東京都内で死去した。83歳。東京都出身。葬儀は家族葬で行い、お別れの会を後日開く。

 祖父は初代猿翁(二代目猿之助)。三代目市川段四郎と俳優高杉早苗さんの長男として生まれ、1947年三代目市川団子を名乗り初舞台を踏んだ。慶応大卒業後の63年、三代目市川猿之助を襲名。「沢瀉屋」の中心的な存在として古典を継承、発展させる傍ら、新たな作品を創造して歌舞伎の可能性を押し広げた。

 2003年に脳梗塞と診断され療養生活に入った。12年に二代目猿翁を襲名して一時、舞台復帰。歌舞伎界入りした長男で俳優の香川照之(市川中車)さんとも共演した。

 「義経千本桜」の宙乗りや「伊達の十役」の早替わりで観客を魅了。86年から現代風のせりふ回しや音楽を用いた「スーパー歌舞伎」に取り組み「ヤマトタケル」などを上演した。

市川猿翁さん

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