WILLERの高速バスに新たな3列シート「DOME」が10月登場 夜間もスマホ使える快適なシェル型シート&カノピーの組み合わせは満足度&コスパ◎ 新幹線派も魅力感じる?

WILLER EXPRESSが新たな3列シート「DOME」を搭載した高速バスを投入します。まずは2023年10月6日から東京~名古屋線の夜行便に2本(上下1本ずつ)、年内に東京~大阪間にもう2本(同じく上下1本ずつ)投入する予定です。名古屋便は9月8日から予約サイト「WILLER TRAVEL」で販売中です。

新シート「DOME」は1+2の3列シート。シェル型のパーテーションと大型のフード(カノピー)で圧倒的な個室感と快適性を実現。「後ろを気にせずにリクライニングを倒せる」「夜間でもスマートフォンが使える」といった「夜行バスの痒いところ」を克服しており、これからの長距離移動の新たな選択肢として、現在のバス業界でしっかりとした存在感を示すシートとなりそうです。

安心&快適の「シェル型シート」

メタリックな質感のシェルで圧倒的な個室感を演出。どれだけリクライニングしてもシェルが動くことはありません

「DOME」では、既存の最高ランクのシート「ReBorn(リボーン)」(2017年導入)で初めて導入したシェル型シートを採用。

リクライニングがシェルの中で完結するため、座席を倒すときに後ろの方を気にしなくとも良いのが大きなメリットです。

シェル型シートの背面には足が入るフットレストが設置されており、足を伸ばしてゆっくりくつろぐことができます。

シェルの下部には足を伸ばせるフットレスト
各座席にはカップホルダー、コンセント(ひじ掛けの下)も。腰当クッションとヘッドレストは可動式で、自分の身体にあわせて調整できます

鉄道ファン向けには近鉄の「ひのとり」(全座席)や東武「スペーシア X」(プレミアムシート)のバックシェルを想像してもらうのが分かりやすいでしょうか。夜行バスで後ろの方に「座席をリクライニングしても良いですか」と聞くのは常識ではあるのですが、相手がすでに眠っていたりすると躊躇われるのもまた事実。夜行バス利用者にとって、「リクライニング」は鉄道利用者よりさらに切実な問題なので、バス利用者の方がシェル型シートのありがたみを感じるかもしれません。

【参考】「ReBorn」のシェル型シートは明るい配色。座席数を18席に抑え、シートピッチは「DOME」より広い驚異の158cm、リクライニングもしっかり後ろまで倒せる最上位のシートです
【参考】近鉄特急「ひのとり」の「バックシェル」を採用したリクライニングシート

夜間もすっぽり顔を覆う大型フード「カノピー」

顔をすっぽり覆う大型フード「カノピー」 スマホホルダーはカノピー内、「WILLER」ロゴのやや下あたりに設置

女性客にも好評な大型フード(カノピー)は、「RELAX」で初めて採用。今年3月に登場した「Prime」にも改良版が設置されています。「すっぴんや寝顔を見られたくない」という要望に応えて開発されたもので、女性客を中心に好評を博しています。

嬉しいのはカノピー内にスマホホルダーが設置されていること。夜行バスでは通常、消灯後はスマートフォンの操作ができません。しかし座席を大型のフードで覆うことで光の漏れなども抑制されるため、「DOME」では夜間の動画視聴やメール等のやり取りも可能なのです。

少し暗くて見づらいですが、カノピーの内側には360度回転させられるスマホホルダーがセットされており、これにスマホを装着することで夜間でも快適に動画視聴やネットサーフィンができます。スマホホルダーの位置は「Prime」よりやや上で、カノピーの外に光が漏れ辛い仕様です

なお、「DOME」では睡眠中に青色の間接照明を点灯します。照明を消せば暗すぎて不安になったり、他の乗客のスマホの光が気になったりしますが、かといって車内照明をつけたままでは眠れないことも。そこで青色の間接照明で「眠りの邪魔にならず、スマホの光も気にならない」ほどよい明るさとします。

【DOME 詳細】

・シートタイプ 3列シート(2+1配置)
・席数 26席(※)
・基本運賃 2列席6,900円~/独立席7,400円~(東京⇔名古屋片道)
・リクライニング最大傾斜度 約130度
・シート幅 座面:55cm/シェル内57.8cm
・シート間隔 108cm

※非常ドア付近に1席分のスペースを空けてあるため、3の倍数-1の座席数となります。

非常扉とその後ろの座席。「9C」は広々としているため、独立席の中でも狙い目のシートと言えそうです

気になるお値段は?

10月から運行を開始する「DOME」の基本運賃は2列席が6,900円~、独立席は7,400円~(東京~名古屋、夜行便)となります。日程によっても変動するため、出発日直前などは少し値上がりすることもあるでしょう。東京~大阪間の運賃についてはまだ確定していませんが、他のシートの値段設定を参考に考えると3,000円前後増えそうです。

WILLERの他のシートと比較してみましょう。同区間の基本運賃は、最上位のシート「ReBorn」が9,000円~、3列独立の「Luxia」が6,900円~(「DOME」の2列席と同等)、キャノピーを装備した4列シートの「Prime」が4,300円~「RELAX」が3,800円~となります。

リクライニング角度やシートの大きさなどは最上位の「ReBorn」に軍配が上がりますが、「DOME」には「Prime」よりさらにグレードアップしたカノピーが付いているのが大きなポイントになりそうです。「DOME」と同等の価格帯の「Luxia」が割を食っている印象はあるものの、「Luxia」はシートピッチが116cmと広く、何より3列独立という強みがあります。

新幹線より使える?

東海道新幹線の最新型「N700S」車両(写真:PIXTA)

鉄道であれば東京~名古屋間は運賃が6,380円。新幹線特急券が4,920円(「のぞみ」利用時、通常期)ですので、「DOME」は新幹線の3~4割引きくらいの値段感で利用出来ます。安い夜行バスなら2,000~4,000円程度ということを考えると、「ちょっとお金を出してもいいから眠れる夜行がいい、新幹線はさすがに懐が痛む」という層にぴったり。

レジャー利用なら有力な選択肢になりますし、ここまで快適な装備を備えてぐっすり眠れそうな高速バスであれば、東京~名古屋・(新)大阪間のビジネスでもちょっと使ってみようかなという気になります。特に、早朝に目的地に着きたい場合はなおさらです。

2023年11月30日出発分までは片道4,500円(2列席)、5,000円(独立席)で販売するキャンペーンも展開中です。秋の行楽シーズンの旅行やライブ・コンサートなどの「推し活」にも使えるシートということで、この秋に一度試してみても良いでしょう。

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