秋彼岸の花、猛暑で品薄 青森県内、生花店などため息

10月に出荷予定だったが高温により早く咲いてしまったトルコギキョウ。茎が細く、背丈が低いなど生育への影響が出ている=八戸市農業経営振興センター

 菊やトルコギキョウなど秋彼岸向けの花が、青森県内で品薄となっている。今夏の猛暑で県内産、県外産いずれも生育不良や品質低下、開花時期のずれが発生しているためで、地域によっては例年より2~5割ほど入荷量が減った品種もあり、市場や生花店などの関係者を悩ませている。

 八戸市農業経営振興センターによると、三八地域の生産現場では菊が咲かなかったり、色あせ、花のボリュームがないなどの品質低下が発生している。同センターがガラス温室で栽培しているトルコギキョウは開花が早まり、秋彼岸向けを8月末に出荷。10月出荷を目指した分は枝が細かったり草丈が低く、出荷を見送る。佐々木達也技師は「遮光シート設置など対策を講じたが、それを上回る暑さだった」と話した。

 各地の市場では、入荷量が減少している。弘前生花市場(弘前市)の黒滝洋介社長によると、菊の入荷量は平年比約3~4割減で、取引価格は3割前後値上がりしている。猛暑の影響で、菊の開花時期が1~3週間程度遅れている半面、リンドウやケイトウなど開花が早まった花も。「市場に出る花が少なく、業者さんから『どうなってるの』と聞かれる」と困惑する。

 生花市場「弘前花き」(同市)の担当者も、菊の入荷が例年の半分近くに落ち込んでいる-と話す。猛暑による開花時期のずれと入荷減は全国的な現象といい、「代用品として出回っている輸入ものの菊も全国に分散し、入ってこない。お盆時期も猛暑で菊の入荷が減ったが、今回はそれ以上に少ない」と語った。

 八戸市中央卸売市場は、秋彼岸向けの花の入荷量が平年比約2割減っている。卸売業者「八戸花き」営業第一部の平内裕治取締役部長は「盆までは一定量の入荷があったが、つぼみ形成期の猛暑が響いたのだろう。生産者も生花店も大変な思いをしている。今後も影響は続くかも」と打ち明けた。

 青森市の三内霊園で生花を販売している女性は「仕入れ価格は例年の3割増し」とため息をつく。この夏は暑さで一晩持たず廃棄した花も少なくない。

 別の店の女性は「入荷するはずの日に入ってこない状態」。仏花として種類や数が同じ花束を2束1セットで提供しているため、調達が大変という。「店頭に花がないことはないだろうが、例年のようにはそろわないかもしれない」と語った。

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