自慢のトマト、大人の「ごほうび」に クラフトビールを加須で限定販売 特別支援学校との縁が紡いだ1杯

トマトを提供した農業技術科の生徒たちと、クラフトビールを手掛ける松澤さん夫婦(左)=13日、埼玉県羽生市下羽生の羽生ふじ高等学園

 埼玉県加須市騎西の「加須麦酒(ばくしゅ)」が16、17日の2日間、トマトを使った記念ビールを正午から午後6時まで限定販売する。トマトは羽生市下羽生の県立特別支援学校「羽生ふじ高等学園」(島田泉校長)の生徒が育てた。加須麦酒CEOの松澤宏幸さん(65)は「いい連携ができている」と感謝している。

 加須麦酒は2021年7月16日に玉敷神社近くにオープン。クラフトビールの醸造販売を手掛ける。営業は金曜日の午後4時から同8時までと土・日曜日の午後1時から同6時まで。店で飲め、専用瓶での量り売りもしている。

 羽生ふじ高等学園は宏幸さんの妻ゆかりさん(63)が勤務していた学園。ゆかりさんは学園の校歌も作曲した。宏幸さんは「麦芽カスを学園で肥料として使っていただいている。その肥料でトマトが育っている。なにかと縁がつながっている」と話す。

 今年5月、農業技術科の大塚俊太教諭(35)から「学園のトマトをクラフトビールの材料に使えないだろうか?」と相談された。十数種類のビールを手掛ける宏幸さんとしてもトマトは初挑戦だった。

 「ビールの基本は麦芽。それにトマトを副原料として加えた。7月上旬に仕込んで、熟成させた。飲んだら、おいしかった。トマトの風味が感じられた。『トマトセゾン』という名前で会社2周年記念ビールにする」と宏幸さん。

 生徒たちは、ビールとトマトのコラボレーションにびっくり。3年生の高橋歩斗さん(18)は「麦芽カスがいい肥料になっている。学園のトマトがビールの材料になるなんて、不思議。循環型のSDGsにつながる」と歓迎する。

 3年生の若林美芳(みか)さん(18)は「トマトは自慢の『ごほうび』という品種。ビールの材料になり驚いている。いいビールに仕上がってほしい」と期待を寄せた。

 問い合わせは、加須麦酒(電話090.8309.4275)へ。

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