熊野古道歩きにもってこい 秋の行楽シーズン始まる、和歌山の景勝地ににぎわい

熊野古道の発心門王子を出発する観光客(16日、和歌山県田辺市本宮町で)

 「シルバーウイーク」とも呼ばれる秋の3連休が16日から始まった。快晴に恵まれた和歌山県紀南地方の観光地では早速、世界遺産の熊野古道を歩いたり、白浜町の景勝地を散策したりする観光客の姿が見られた。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられて初めて迎える秋の行楽シーズン。観光関係者は今後の盛り上がりに期待している。

 田辺市本宮町では16日午前、熊野古道中辺路の「ゴールデンコース」と呼ばれる発心門王子から熊野本宮大社へと向かう古道を歩こうと、観光客が続々と来訪。連休を活用して神奈川県から家族3人で訪れた女性(54)は「コロナ禍でどこへも行けなかったが、やっと足を伸ばす気になれた。昨日から熊野三山を回っており、熊野古道を歩いて心を清めたい」と笑顔を見せた。

 熊野本宮観光協会によると、町内にある宿泊施設では、16日からの連休の予約はまずまずの状況。森知三事務局長(55)は「例年、熊野古道を歩きやすい気候となる10月、11月がお客さんが多くなる。今後の盛り上がりに非常に期待している」と話す。

 熊野本宮語り部の会では、この3連休で約100人を案内する予定。松本純一会長(76)も「コロナ禍前の状況に戻ってきつつある。今後お客さんが増えてきそう」と期待する。

 語り部の会ではコロナ禍の影響で中止していた、毎週日曜・祝日に発心門王子から熊野本宮大社までの熊野古道を1人千円で案内する「朝いち語り部」も再開。利用を呼び掛けている。

■コロナ前のにぎわい戻る 白浜温泉

 白浜町では同日朝から、千畳敷、三段壁などの名所に観光客が次々と訪れている。

 残暑が厳しい中、白良浜では水着で海水浴を楽しむ観光客も見られた。各駐車場には「京都」「神戸」など関西圏を中心とした県外ナンバーの車が多く、「横浜」「諏訪」「八王子」など遠方のナンバーもあった。

 町内のホテル関係者によると、宿泊客の数は海外を含め、ほぼコロナ禍前に戻っている。香港などの団体客が戻ってきているほか、素泊まりの外国人観光客が増えている。一方、白浜を訪れる修学旅行客はコロナ禍前のように遠方を選ぶ学校が増え、減っているようだという。

 名勝・円月島付近でグラスボートを運航している白浜海底観光船の津多定社長(48)は「8月の乗船客は前半、天候の影響で運航ができなかったので、昨年より少なかった。秋の行楽シーズンで挽回できればと思う」と話した。

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