リビア洪水:デルナで被災した人びとが求めるものは。緊急チームからの報告

リビア東部デルナに到着して調査と寄贈の活動を始めたMSFのチーム © MSF

豪雨による大規模な洪水で1万人近くが行方不明となり、5000人以上が死亡したと報じられるリビア東部の港湾都市デルナ。二つのダムが決壊し、街は分断された。国際移住機関によると、人口の3分の1に当たる約3万人が避難を余儀なくされている。 同国西部で医療援助活動を行っている国境なき医師団(MSF)が送り出した緊急チームは14日、陸路でデルナに入った。医療ニーズを調べるとともに、遺体収納袋400袋、負傷者を治療するための医療キット(消毒薬、湿布、縫合糸、包帯など)、さらに抗生物質や手袋、マスクなどの物資の寄贈を始めた。

通信網は不安定で、道路は激しく渋滞している。MSFは保健省やリビア赤新月社と緊密に連絡を取り合い、できるだけ早く活動を始めるため、現地の病院や保健センターの状況やニーズの調査を続けている。

リビアでのMSF医療コーディネーター、マノエレ・カルトンが、状況を報告する。

人びとにメンタル面のサポートが必要

私たちは医療ニーズのアセスメントを行うチームとしてデルナに到着しました。 デルナでは内外から多くのボランティアが集まっており、一方で被災した誰もが助けを求めているのですが、調整が足りないため状況は非常に混とんとしています。 緊急事態での急性期は、明らかに終わっていました。もう路上には遺体はなく、病院で負傷者を見ることもありません。 むしろ、慢性疾患など、日々の健康に対するニーズが高まってきています。特にメンタルヘルスのサポートには大きなニーズがあります。被災者を支援した医師、洪水を目撃した人から家族全員を失った人びとまで、誰もがメンタル面での支援を求めています。様々なニーズの中でも特に大きいものの一つです。

洪水で荒廃したデルナ © MSF

医療スタッフも足りない

私たちは今朝、保健省と面会し、MSFがどのように支援できるかを話し合いました。 西部にある3カ所の保健施設を訪れましたが、一つは医療スタッフがほぼ全員亡くなり、院長も亡くなってしまったため活動休止中で、活動を再開できる人材もいませんでした。 他の2カ所はトリポリからのボランティア医師が活動していますが、支援を求めています。特に施設を訪れる住民のメンタルヘルス面でのサポートを必要としています。

デルナ向けに準備された緊急物資 © MSF

水や衛生状況をさらに調査

国内避難民(IDP)の状況については、まだよく分かっていません。合わせて3000人ほどのIDPがいる場所を確認しましたが、友人や同僚の家に避難した人もたくさんいます。しかし、こういった避難先も混み合っていて、長期的に頼るのは難しいものがあります。 これから、飲料水を含む水と衛生について調べる必要があります。 このような災害では、水に関連した病気に対する懸念が出てくるからです。保健省からも調べるよう要請を受けています。私たちは調査を進め、できるだけ早く現地にスタッフを派遣し、活動を始めるつもりです。

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