K-tunes RC F GT3の一年越しの“リベンジ”成就。「自分のミスを自分でカバーしただけ」

 9月16日、宮城県のスポーツランドSUGOで公式予選が行われたスーパーGT第6戦『SUGO GT 300km RACE』。GT300クラスでは、ドラマチックな予選が展開された。第5戦鈴鹿でSUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝が14回目のポールポジションを獲得し、最多ポールポジション記録を更新したが、まさかのその次戦で、それまでの最多タイ記録をもっていたK-tunes RC F GT3の高木真一がポールを獲得。15回で並ぶことになった。そして、チームにとっては一年越しの“リベンジ”達成となった。

 2022年に新田守男/高木真一の“ゴールデンコンビ”を復活させたK-Tunes Racingは、第1戦岡山からフロントロウにつけるなど、予選ではスピードをみせてきた。2022年第6戦SUGOでは、公式予選で高木が1分17秒373を記録し14回目のポールポジションを獲得したかに思われたが、予選後、サクセスウエイトの積載量が足りず、タイム抹消となってしまっていた。

 この時のサクセスウエイト積載については、予選前の整備のために一度外した後、再度搭載した際に積載量が足りなかったのが原因。タイムに影響を及ぼすほどの違いではなかったというが、チームにとっては悔しい一戦となっていた。もしこの時に高木のポールが決まっていたら、山内のポール記録更新もひとつハードルが高くなっていたのだ。

 そんな悔しさを、同じコースで晴らす活躍をみせたのが今日のK-tunes RC F GT3の走りだ。もともとレクサスRC F GT3はSUGOが得意コースだが、「今回は午前の公式練習から調子も良く、昨年のこともあって、リベンジで獲れたら良いね……とチームで話していた(高木)」と、この件について触れていたという。

 一方の新田も、公式練習での好調さから「真一が山内英輝選手にポールポジション回数でひとつ上回られてしまったので、なんとかQ2で真一にアタックしてもらって、ポールが獲れたら……と思っていた」と、高木のポール記録更新を狙っていたという。ただ、Q1を前に突然降り出した雨が新田を不安にさせた。しかしそんな中でも1分27秒712を記録し突破。Q2の高木のアタックに繋げた。

 迎えたQ2では、先にアタックしていた山内に対し、高木が各セクターでタイムを更新。「昨年からはまた違う新しいタイヤに変えてきていて、一発のタイムでどこまでパフォーマンスを上げられるかとも思いましたが、そこも昨年のタイムを上回る勢いで、走りながらもいけると思っていました」と1分17秒098という好タイムを記録。「ダンロップさん、今まで開発含めて長くやってきた新田さんのおかげだと思います。それをこうして結果で出すことができて安堵しています」と高木は喜んだ。

 すでに公式予選の正式結果表も発表されており、無事にK-tunes RC F GT3のポールポジションは確定。チームにとっては一年越しの“リベンジ”達成となった。山内に記録を更新された次のレース、そして昨年と同じラウンドでの記録と、ドラマチックな予選結果となった。

 2022年の予選後、サクセスウエイト違反について悔しい表情を浮かべていたK-tunes Racingの中居邦宏チーフエンジニアは「自分のミスでもあったので、自分のミスを自分でカバーしただけです」と予選を振り返った。

「Q1がウエットになったことで心配ではありましたが、そこを通ることができれば前の方からスタートできると思っていました」と中居チーフエンジニア。とはいえ、決して予選ポールだけを目指したことでないとも言う。

「昨年とはタイヤも違うので、セットアップの方向性は異なっています。予選よりも決勝の方が大事だということも新田さんに言われているので、決勝レースをベースとしてタイヤも選んでいます」

「今季はチームポイントがちょっと少ないので、Aシード権(現在K-tunes Racingは18ポイント18位。ランキング上位に与えられ、決勝出場権などを得る)を獲るために、ここかオートポリスで大きいポイントを獲らないとチームとしても苦しくなってしまいます。そこを集中してやっています」

 9月17日の決勝レースについて、中居チーフエンジニアは「コンディションによりますね。雨が降るのか、雨交じりになるのか、陽がもっと強くなるのか。それによって、ぜんぜん作戦は変えなければならないと思っています」と語った。

 さらなる強さとともにポールポジションからスタートするK-tunes RC F GT3。新田がもつ最多優勝記録更新がひさびさに達成されるのかも注目して見ておきたいところだろう。

2023スーパーGT第6戦SUGO K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)

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