3連休初日の16日、台風13号に伴う大雨被害を受けた茨城県北3市には、早期復旧に向け、800人を超えるボランティアが訪れた。厳しい暑さが続く中、浸水被害を受けた住宅などの片付け作業に汗を流した。故郷の惨状を知り、県外から駆け付けた人もあり、支援の輪が広がりつつある。
最高気温29.5度と残暑が厳しくなった北茨城市。市役所に設置されたボランティアセンターには受け付け開始から行列ができていた。15日の参加者は37人だったが、この日は県内外から196人が訪れた。
住宅の浸水被害が相次いだ同市関南町神岡下の住宅地では、県立日立一高の野球部23人が手分けして作業に当たった。
「人出が増えると全然違う。片付けがはかどって助かる」。夫と2人暮らしで、自宅が床上浸水した吉川保代さん(74)は目を細めた。生徒らは汗をにじませ、物置から泥に漬かったタイヤを出したり、家具を運んだりした。同部2年の薄井智輝さん(17)は「自分たちのような若い人がもっと活動して助けになりたい」と話した。
浸水被害を受けた同市大津町北町の水産加工業者「入万水産」にも多くの人が集まり、加工場の泥掃除などを進めた。地元の銀行支店に勤務する日立市の高星翔政さん(29)は「困った時はお互いさまという気持ち。気にせず頼ってほしい」と作業に励んだ。同社の上神谷光男社長(51)は「負けてられない。乗り越えられない試練はないと思い、頑張りたい」と力を込めた。
高萩市には、市社会福祉協議会によると323人が復旧作業に当たった。3連休で多くの派遣要請に応えられる見通しという。
都内在住で同市下手綱出身の豊田佳央さん(60)は、ニュースで故郷の被害状況とボランティア不足を知り駆け付けた。床上浸水した住宅で汚れた家具の運び出しや泥の清掃などに汗を流した。被災者からの感謝の言葉に「来て良かった。故郷の力になりたい」と思いを新たにした。
8年前の鬼怒川堤防が決壊した常総水害で、「支援の必要性を痛感した」というつくば市の斉藤健太さん(35)は、ボランティアバスを利用し現地入りした。被害の大きさが想定以上で驚きを隠せない様子だったが、「助けになって良かった」と話した。
日立市では同日、市職員100人以上がボランティアに参加した。市社協によると、同日は297人のボランティアが集まり、要請のあった25カ所に派遣したという。