皇室ゆかり 陶磁の名品 茨城・笠間で三の丸尚蔵館展開幕 波山ら近現代の変遷も

皇室に受け継がれた近現代陶磁器の名品が並ぶ=笠間市笠間の県陶芸美術館

皇室に受け継がれた近現代陶磁器の名品を紹介する「皇室と近代の陶磁 三の丸尚蔵館名品展」が16日、茨城県笠間市笠間の県陶芸美術館で開幕した。宮内庁が所管する三の丸尚蔵館の収蔵品の中から、陶聖、板谷波山(筑西市出身)らによる明治・大正期の作品をはじめ、昭和期以降の個人作家の作品、笠間や栃木・益子ゆかりの作品など、115点が展示されている。鑑賞者は、近現代陶磁史のダイナミックな変遷をたどることができる。

三の丸尚蔵館は1993年に開館し、皇室に代々受け継がれてきた絵画や書、工芸品など9千点余りを収蔵。2020年から新施設の整備に入り、26年の完成を目指している。

工事期間中は展示公開ができないため、収蔵品を地方の博物館などに積極的に貸し出している。

県陶芸美術館は今回、皇室ゆかりの名品の魅力を広く伝えようと、同展を企画した。

明治期に輸出陶磁器の花形となった絢爛(けんらん)豪華な薩摩(さつま)焼様式の作品群をはじめ、初代宮川香山や板谷波山ら帝室技芸員の名品を含む明治・大正期の作品、富本憲吉や楠部彌弌など昭和期以降の個人作家の作品が一堂に並べられている。

また、茨城県の焼き物産地笠間と、隣県の兄弟産地、益子を拠点とする作家についても、皇室に受け継がれた作品などが紹介されている。

笠間焼作家の先駆けで、波山の教えを受けた塙彰堂の作品も展示されている。

担当の飯田将吾主任学芸員は「皇室ゆかりの名品を通じ、近現代の陶磁史をたどる貴重な展覧会となった。笠間や益子の作家との関わりを含め、じっくり味わっていただければ」と鑑賞を呼びかけている。

会期は12月10日まで。問い合わせは同館(電)0296(70)0011。

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