「電気料金が未納…」電話の音声ガイダンス悪用し誘う 新手の特殊詐欺、兵庫県で222件確認 県警が警戒

兵庫県警察本部=神戸市中央区

 兵庫県内で7月以降、電話の自動音声ガイダンスを悪用した新手の特殊詐欺事件が急増していることが兵庫県警への取材で分かった。電気料金や通信料金の未納を口実に、調査の名目でキャッシュカードなどを盗んでいく手口で、8月末までに222件を確認。9月に入り、50件程度の着信が確認された日もあり、県警が警戒を強めている。

■「すぐ切るか、県警に相談を」

 新たな手口では、固定電話に着信があり、「電気協会」や「NTT」をかたった音声ガイダンスが流れる。料金の未納で電気などが使えなくなる-との内容で、手続きのために「1」や「9」などのボタンを押すよう誘導されるという。

 従うと、職員や警察官らを名乗る何者かが通話に出て「カードや通帳を預かって調べる」などと虚偽説明。暗証番号を聞き取った上で、自宅のポストにキャッシュカードなどを入れておくよう指示し、持ち去っていくとされる。

 県警生活安全企画課によると、5月ごろから西日本を中心に広がり、兵庫では7月17日に最初の届けがあった。ある捜査幹部は「ボタンを押させる手順で『だましやすい人』を選別し、詐欺の効率を上げる狙いがあるのではないか」とみる。

 実際にカードなどを盗まれた事例は8月末までに阪神間などで7件あり、被害額は計約650万円に上る。同課は「不審な音声ガイダンスの電話がかかってきたら、すぐに切るか県警に相談してほしい」と呼びかける。(小川 晶)

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