「参加500人未満なら撤退」→2倍超参加し運行継続 青森市P連ねぶた、「次の10年」へ継承誓う

市P連の大型ねぶたは運行初日の8月3日、505人の児童生徒が参加して目標を達成。来年以降の運行継続が決まった
今夏運行した市P連の大型ねぶた「天狗と牛若丸」のモザイク写真の前で、来夏以降の運行への思いを述べる棟方会長(右)=16日

 青森ねぶた祭での大型ねぶた運行を巡り「今夏の会期中の児童生徒の参加が延べ500人未満なら撤退」と、背水の陣を敷いた青森市PTA連合会(市P連)。運行継続への熱意は団体の垣根を越えて市内外に伝わり、40回目の出陣となった今夏の最終的な児童生徒の参加は延べ1241人と、目標の2倍超に。16日、市内で開いた運行出陣40周年記念式典では、出席者が節目を祝うだけでなく、「崖っぷち」と銘打って臨んだ今夏を振り返り、子どもたちに文化を継承する「次の10年」への道を確かめ合った。

 「現役会員、OBやOGが一丸となり、一生忘れられない最高の夏を子どもたちに届けることができた」。16日、同市の「ダイニングTSUBAKI」で開かれた記念式典。市P連の棟方丈博会長は出席者を前に喜びをかみしめた。

 市P連のねぶた運行は、少子化による児童生徒や保護者の減少を背景に、2019年の参加児童生徒数が延べ585人と、ピークの04年(2296人)から4分の1に。一定の人数が集まらないようでは、子どもたちへの郷土文化の継承という目的を果たせないとして、今夏の祭りに運行継続へのハードルを設けた。

 参加者獲得に向け、市P連は、運行の列へ気軽に加わってもらえるよう、親子向けのはやし体験会を企画。他団体のはやし方に呼びかけ、協力を得た。保護者の負担を減らすため、学校着での参加も主催者に働きかけて認めてもらった。

 その結果、今夏の初陣となった8月3日の参加児童生徒数は505人となり、初日で目標を達成。最終的に、期間中の運行4日間で集まった子どもたちの延べ人数は、15年以来8年ぶりに千人を超えた。棟方会長は「コロナ禍の影響から、市P連としての出陣そのものを不安視する声も上がっていた中で、V字回復を達成できた」と振り返る。

 来夏以降の運行を見据えた取り組みは、既に始まっている。市P連のメンバーは、児童生徒の卒業に伴う入れ替わりが必ずある。新顔が多くなっても準備に困らないよう、運行への一連の段取りをまとめた「教科書」作りに乗り出した。ねぶたの実行委員を募る各校への働きかけや、子どもたちを集めたはやしの合同練習も、10月ごろから取りかかろうと模索している。

 式典で、棟方会長は、運行の意義をこう強調した。「ねぶた好きになるための登竜門としての責務が市P連にある。次の10年を目指して、たゆまぬ精進を積み重ねる」

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