そこのあなた「オーバーターン」になってないかい? レッスン最前線からLIVE中継

これからお届けするレッスンのやり取りは、感覚論とは無縁の科学目線の世界。最新技術を使ったいまどきのコーチたちのリアルなレッスンの一部始終をレポート。人の振り見て我が振り…直せます。

ドライバーが「当たらない」を直したい石田さん(ゴルフ歴15年/30代男性/平均スコア100前後)

石田峻康(いしだたかやす)さんの悩みはドライバー。しっかり振ろうとすると、芯に当たらず球がバラつき、OBも多数。そのため力感を抑えてスイングしているが、だからといって毎回安定しているわけでもなく、飛距離も出ない。「ドライバーがちゃんと当たるようになりたい」と話す。

スイング解析で見つけた「当たらない」原因

石田さん(写真左)は、トップで左ひざが右に動き過ぎる。それが原因でオーバーターンになっている

西村浩太郎(にしむらこたろう)コーチが早速スイングをチェック。石田さんの「当たらない原因」が見えてきた。「本来、ダウンスイングからフォローにかけては、腰がスムーズに開いていくイメージが欲しいです。石田さんの場合、アドレスからトップにかけて腰が回りすぎているため、逆にダウンスイングからの腰の回転が少ない。腰の回転量のバランスが逆転しています。バックスイングの腰の回転量はツアープロ(写真右)の平均値が『44度』なのに対し、石田さん(写真左)は『60度』、肩の回転はプロの平均値『88度』に対して『109度』も回っています。バックスイングでのオーバーターンがダウンスイングの左腰の回転不足を生み、インパクトの安定性を損ねていると思われます」(西村コーチ)

インパクト時の腰の回転量は、ツアープロが「43度オープン」に対し、石田さんは「20度オープン」と少ない

ダウンスイングでスムーズに腰が回転できず、それを腕で補うことにで再現性が低いインパクトになる。これが石田さんの現状だ。西村コーチは、石田さんのバックスイングでの回転過多の原因は、左ひざにあると診断した。「石田さんはバックスイングで左ひざが内側を向くように内転していくが、これでは下半身のストッパーが外れ、体全体が右に回りすぎてしまいます。さらに切り返しからダウンスイングにかけて、左ひざを戻す動きが先に入るため、腰の回転が間に合わずにインパクトを迎えています」(同コーチ)

左ひざが正面を向くように動く

左ひざを正面に向けた状態をキープすることで、右へのオーバーターンを抑えることができる

そこでバックスイングで左足をもっと踏ん張り、左ひざが正面を向いた状態をキープするように指導。ポイントは、バックスイングで左ひざを前方向(ボール側)に出すイメージ。

左ひざの右への動きが減り、ドリル後はツアープロの平均値「肩88度、腰44度」に近づいた。

このドリルによって、腰の回転量は「45度」、肩の回転量は「97度」にまで減少。ツアープロの平均値に近づいた。「スイングを抑えるというのは、腕をあまり上げないようにするというイメージでしたが、こんなに体の動きを抑えてもいいんですね。少し窮屈に感じますが、結構当たるようになってきました」(石田さん)

ダウンスイングでの左のお尻の動きを意識する

切り返しから左足かかとに体重を乗せていくと、左への回転がスムーズに行える

バックスイングの動きはずいぶんよくなったが、ダウンスイングの回転不足はまだ解決しきれていない。そこで西村コーチはダウンスイングでの左のお尻の動きを意識するように指導した。「後方から見て、インパクトで左のお尻が見えるくらい、お尻を回していきたいんです。ダウンスイングで左かかと側に乗りながら、左のお尻をもっと動かしてください」(同コーチ)

ドリル前(写真左)とドリル後(写真右)を比較しても、インパクト時の腰の回転量に違いがでた

西村コーチが動きをサポートし、石田さんも動きをつかんできたようだ。何度か繰り返すうちに、インパクトでのヒップターン量が「25度」、「32度」とアップしていった。「ツアープロの回転量にはまだ足りないですが、当面の目標は30度。このくらいの数値をコンスタントに出せるようになれば、インパクトのバラつきも減り、飛距離も伸びてきます。バックスイングでの回りすぎと、ダウンスイングでの回転不足を整えたことで、スムーズな回転運動に近づいてきて再現性がアップしました。しばらくはこの体の動きを身につけてください」と改めて動きの確認をした。

レッスン後の石田さんのスイング インパクトで腰が開きスムーズな回転に変化

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