志功を核に地域づくり ゆかりの5自治体 7年ぶり青森でサミット 文化芸術資源を活用

棟方をテーマにしたまちづくりについて共同宣言する(左から)酒井区長、伊東市長、西市長、田中市長、白石教育長=17日午前、青森市の県立美術館
棟方について学んだ特別授業の成果を発表する長島小の児童たち
棟方志功サミットのパネル討論で、棟方をテーマにしたまちづくりについて発表する(左から)酒井区長、伊東市長、田中市長、白石教育長=17日午前、青森市の県立美術館

 青森市出身の世界的板画家・棟方志功(1903~75年)にゆかりがある全国5自治体の首長らが一堂に会する「棟方志功サミットin青森」が17日、同市の県立美術館で開かれた。全国各地から175人が参加し、棟方が残した文化芸術資源を活用したまちづくりなどについて考えた。

 サミットは2016年に青森市で初開催し、以降は5自治体の持ち回りで原則年1回開いており、同市での開催は7年ぶり。

 棟方の生誕120年記念イベントとして開かれた今回は、棟方の母校・長島小の5年生が棟方について学んだ特別授業の成果を発表。大原美術館(岡山県倉敷市)名誉館長の大原謙一郎さん、棟方の孫で棟方志功研究家の石井頼子さん、ねぶた名人の竹浪比呂夫さん、県立美術館館長の杉本康雄さんの4人による座談会「棟方志功とねぶた」もあった。司会を務めた西秀記青森市長が来年3月末に閉館する棟方志功記念館の日本庭園について「歴史や芸術に触れ合える機会をつくることは重要。それが青森市民の誇りにつながる」と述べ、閉館後の保存・活用をにじませる場面もあった。

 パネル討論では、西市長、富山県南砺市の田中幹夫市長、倉敷市の伊東香織市長、東京都中野区の酒井直人区長、同杉並区の白石高士教育長の5人が、棟方を核にした地域おこしの例を発表した。

 田中市長は「いろいろな団体の人たちが棟方を愛し、さまざまなまちづくりに関わっている。北陸新幹線の敦賀延伸を見据え、東京や大阪にも棟方さんの作品を発信していきたい」、酒井区長は「生誕120年を記念し、棟方が住んでいた大和町(やまとちょう)に焦点を当てた地域展示を開催中。今後もゆかりの自治体と学び合っていきたい」などと語った。

 最後に、西市長が「連携を密にしながら、文化芸術が有する創造性を観光・教育・地域の活性化などさまざまな分野に生かし、取り組む」とする共同宣言案を発表。他の首長らも拍手で承認し、サミットを締めくくった。

 来年度のサミット開催地は現時点で未定。

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