「アレコ」情熱の舞 県立美術館でフラメンコ特別公演/青森市

「アレコ」をテーマにした特別公演でフラメンコを踊る工藤さん=17日夜、県立美術館アレコホール

 青森市の県立美術館で17日、アレコホール特別フラメンコ公演「抱擁の哀しき果て」が上演された。東奥文化選奨を受賞したフラメンコダンサー工藤朋子さん(43)=五所川原市出身、東京都在住=が、津軽三味線の素朴ながらも激しいリズムに乗せて情熱的な舞を披露し、観客を魅了した。

 同ホールに展示しているシャガール作の舞台背景画「アレコ」をテーマに、若いロマの娘と元青年貴族アレコの悲恋と愛憎を描いた物語で、工藤さんがロマの娘ゼンフィラを、フラメンコダンサー三四郎さんがアレコを演じた。

 2部構成の前半は、2人が出会い恋に落ちる場面を華やかに舞った。後半は一転して、すれ違う2人と嫉妬にかられた人間の深淵(しんえん)を踊りで表現。浅野祥さんの津軽三味線の音色と高実希子さんのピアノの旋律が、照明効果とともに幻想的な舞台を演出した。

 工藤さんの県内公演は今回が初めて。「アレコ」全4幕を背景にしたフラメンコと津軽三味線のコラボレーションは、県美でしか見られないということもあり約170席はほぼ満席となった。

 妻と来場した青森市の佐藤淳哉さんは「初めて生でフラメンコを見たが、ダイナミックで2人の掛け合いが絶妙だった」と感動した様子。工藤さんは公演後の取材に「背景画の力も感じながら、役に吸い込まれるように演じられた。皆さんの拍手が温かく、これからもっと地元公演の機会をつくりフラメンコの文化を伝えたい」と紅潮した表情で話した。

 公演は18日も行われる。

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