紅葉シーズンに行楽客が集中する茨城県高萩市の花貫渓谷を通年で楽しめる観光地にするため、市は民間事業者との対話を通じて整備案やアイデアの提供を受ける「サウンディング型市場調査」を始める。市はカフェや展望デッキの設置などを検討しており、民間事業者から採算性や実現性などの意見を聞き、民間活力を導入した整備計画の策定を進める。
市観光商工課によると、花貫渓谷は観光客の7割が紅葉シーズンに集中。年間を通じた集客と短い滞在時間、薄い地域経済への波及効果が課題となっている。
市は6月、カフェや展望デッキの設置などを盛り込んだ「花貫渓谷利活用・整備基本構想」を策定した。同構想の実現性や事業者の参入意向、より良いアイデアを計画策定の参考にするため、9月25日から10月13日にかけて、同市場調査を実施する。
提案に向けたイメージを膨らませてもらうため、市は8月、事業者説明会と現地見学会を実施した。7事業者が参加し、同課職員が花貫渓谷の課題や「事業者の意見や意向が反映されやすい」など、同市場調査のメリットを説明した。
参加者は花貫渓谷に移動し、スマートフォンで現地の動画や写真を撮りながら、市の担当者に駐車台数や通信環境、インバウンドの人数などを確認した。
電動キックボード事業を展開する増子博之さん(54)は「坂が多く、歩くのに疲れてしまうので、キックボードがあると便利と感じた。季節を問わず、訪れる目的にもなる」と提案に意欲を示した。
市は、参加事業者から意見を聞き取った上で整備計画を策定し、事業者を募集する予定だ。