魔法少女アニメ【魔法の天使クリィミーマミ】太田貴子が歌う「デリケートに好きして」  魔法少女アニメの傑作!魔法の天使クリィミーマミ

女子だけでなく男子も見ていた“魔法少女アニメ”

1960〜70年代に人気を博した『魔法使いサリー』や『ひみつのアッコちゃん』など、東映動画制作による一連の魔法少女アニメは、女子だけでなく男子にも見られていたはずだ。それが1980年代になり、1982年に登場した『魔法のプリンセス ミンキーモモ』は、当時の女子児童はもちろんのこと、ある程度の年齢になった男性も、オタク的な観点で作品に接するようになる。同作に限らず、アニメは子供だけが見るものというそれまでの常識が覆された時代であった。

ストーリーや絵柄、音楽などにも、アニメ作品の多様性が反映されてゆく。竜の子プロから独立した葦プロダクションと読売広告社の制作により、テレビ東京系で放映された『ミンキーモモ』もその辺りを意識して成功した作品であり、続いて読売広告社が企画したのが『魔法の天使クリィミーマミ』である。ただし続編というわけではなく、新たにスタジオぴえろの制作で、放送局も日本テレビ系。スタジオぴえろの起用は、大人気を博していた『うる星やつら』を手がけていたことが大きかっただろう。さらなる視聴者を獲得し、当初は26話の予定が52話まで延長された。その流れで、同じくスタジオぴえろ制作による第2作『魔法の妖精ペルシャ』、第3作『魔法のスターマジカルエミ』と、シリーズが5作まで作られることになる。

クリィミーマミの人気を支えた主題歌、「デリケートに好きして」

『クリィミーマミ』の人気を支えた魅力のひとつが主題歌である。主人公・森沢優の声を演じた太田貴子が自ら歌った「デリケートに好きして」で、彼女のデビュー曲となった。作詞・作曲の古田喜昭は、シュガー「ウエディング・ベル」をはじめ、メロディアスかつトリッキーな作風で、アニメ主題歌には正しく適任。実際、前年には加茂晴美が歌った『ときめきトゥナイト』のオープニングテーマを、この年も『パーマン』の主題歌「きてよパーマン」(三輪勝恵、コロムビアゆりかご会)を手がけており、どれも楽しい気分にさせてくれる曲ばかり。「デリケートに好きして」も後にいろんな歌手にカバーされることになる傑作である。アニソンのみに留まらずアイドルポップスとしても魅力的で、最近では2019年に東京女子流の新井ひとみがソロデビュー曲として歌っていたのが記憶に新しい。馬飼野康二が担当した劇伴も作品を形成する上で欠かせない大事な要素となった。

彼女のサードシングルとなった「LOVEさりげなく」も『魔法の天使クリィミーマミ』後期のエンディングテーマに使われた。こちらは三浦徳子の作詞、小田裕一郎の作曲という、松田聖子の初期楽曲を提供したコンビによる爽やかなアイドルポップス。その後のシングル「天使のミラクル」や「ハートのSEASON」も、やはり『魔法の天使クリィミーマミ』のOVAや劇場用作品の挿入歌となっている。

今年は太田貴子デビュー40周年、「デリケートに好きして」も発売から40周年

太田貴子がデビューするきっかけとなったのは、日本テレビ『スター誕生!』。決戦大会で徳間音楽工業(現:徳間ジャパン)からスカウトの札が上がったことで運命が決まる。当時の同レーベルでは会社の資本の関係もあり、この後に出てくる安田成美や小幡洋子ら、アイドルがアニソンを歌うケースが多かったのだ。デビュー2年目の1984年にはNHKの公開歌番組『レッツゴーヤング』のレギュラーメンバー“サンデーズ” に抜擢されて活躍する。ライブ活動にも精力的だった。

1989年にレコード会社をNECアベニューへ移して活動していたが、1994年に一旦引退し、1996年に結婚している。それでも1998年に復帰の決意を固めたのは、彼女が単なる元・アイドルというだけでなく、アニソンシンガーとして広く支持されていたことが大きかっただろう。復帰宣言が発表されたのも、スタジオぴえろの20周年記念ファン感謝祭にゲスト出演した折であった。

その後もアニメ関連のイベントやライブに参加し続け、2008年12月には、セルフカバー版「デリケートに好きして(21st century ver.)」をリリースした。その際に移籍した所属事務所、B-BOXの社長は、『クリィミーマミ』で社長役だった声優の井上和彦であるという事実からも、この作品との出逢いが彼女にとっていかに重要であったかが判る。今夏、太田貴子はデビュー40周年、同時に「デリケートに好きして」も発売から40周年を迎えた。

この記念すべき年にstudioぴえろ公式YouTubeチャンネルより、アニメ放送40周年を記念して、アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』全52話を期間限定で無料公開することが決定。魔法少女アニメの傑作をこの機会に存分に堪能してはいかがだろうか。

カタリベ: 鈴木啓之

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