奥野瑛太がラジオドラマで佐津川愛美と初共演!「いつまでも甘えん坊でいられます(笑)」

NHK-FMでは、9月30日にFMシアター「山神家の森」(土曜午後10:00)を放送。ラジオドラマ初出演にして初主演となる奥野瑛太が、30年ぶりに故郷・北海道に帰省した主人公・恵一を演じ、時を超えた親子の絆を描き出す。共演は佐津川愛美、脚本は「北のシナリオ大賞」2023年度大賞作品。

このほど、NHK札幌放送局で収録に臨んだ2人にインタビュー。役への思いや作品の聞きどころについて聞いた。なお、NHKラジオ「らじる★らじる」では、放送日から1週間、聞き逃し配信を行う。

「北のシナリオ大賞」は、日本脚本家連盟・北海道支部が主催するオーディオドラマの脚本賞。5年前からはNHK札幌放送局と共催し、大賞作品を同局でオーディオドラマ化している。19回目の今回は122本の応募があり、千葉県在住の宇部道路(うべ どうろ)氏の「山神家の森」が大賞に。宇部氏は、3年間北海道に住んだ経験を基に「北海道で出会ったすべての人への感謝を込めて書き上げた」とコメントを寄せている。出演はほかに、山野久治、磯貝圭子、泉陽二、西田薫、下田悠惺、笹塚桃李、鈴木琴心。

ドラマの舞台のモデルは、国内でも珍しい「赤いオーロラ」が見える北海道・陸別町。親から子、孫へと代々森が受け継がれていく林業の町でもある。主人公・恵一(38歳)は、その町で林業を営む山神家の跡取り息子として生まれながらも、両親が離婚し、幼少期から東京で暮らす。ずっと音信不通だった父・辰太郎の死の報せを受け、葬儀のため30年ぶりに帰郷した場面から物語は始まる。

今や父、林業に対する思い入れはない恵一。だが、同級生の朱莉(佐津川愛美)と再会し、さまざまな葛藤を抱えながら母と共に故郷で生きる決断をしたことを知り、気持ちに変化が起こる。そして、30年ぶりに「赤いオーロラ」が出現する日、恵一は、父との唯一の思い出が残る森に足を踏み入れるのだった──。

── 作品を読んだ率直な感想をお聞かせください。

奥野 「僕も主人公の恵一と同じように、北海道から上京し、今こうして地元に戻っています。家庭環境は違いますけれど、そういった意味でシンパシーを感じました」

佐津川 「私も(自身の役)朱莉と同世代なので、親との関係、特に30歳を過ぎてあらためて大切に思うことなど『分かる、分かる!』と読ませていただきました」

── 奥野さんはラジオドラマ初出演とのことですが、いかがでしょうか?

奥野 「声で表現することの難しさと向き合っています。人柄が無意識に出てしまうんですね。映像とは違う頭の使い方をすることを含め、楽しく臨めています」

──「とまこまい観光大使」など北海道との関わりが増える中、今回の意気込みをお聞かせください。

奥野 「ナレーションのお仕事など、NHK北海道さんとはほかの番組でもご縁があり、18歳で北海道を出て以来、なかなか帰ってこられない中で、こういった形で戻ってこられることは本当に感慨深いです。心の根の部分で、故郷の空気の中で仕事したいと思っている自分がいます」

── 初共演ということですが、お互いの印象はいかがですか?

佐津川 「最初の本読みの時、奥野さんは演出さんの言葉を受けて声のイメージが変わったんです! 演じ分けの大切さは、ラジオドラマに何本も携わる中で私も感じてはいたのですけれど、大事な部分がスッとできてしまう、すごい俳優さんだなと思いました」

奥野 「僕は人を拒否している役柄なので(笑)、不思議な感覚でいますけれど…。女性の方が現実的なところを分かっていて、男性の“少年性”のような側面を捉え、大人な対応をしてくれるのではないかと。いつまでも甘えん坊でいられます(笑)」

── 作品の魅力と聞きどころをお教えください。

奥野 「普遍的な親子の話をベースに、林業の後継者問題、過疎化、環境保全、世界的な社会情勢下での影響など、今北海道が抱える問題にやわらかく触れています。また、北海道で生きる登場人物たちや主人公を通して、身につまされるようなこともシンプルに描いていますが、嫌な印象ではなく、むしろ救われる気持ちになる読後感が印象的です。個人的には、北海道で活動されている役者の方々とご一緒できることがうれしい。どういう空気感が北海道で生まれるのか、楽しみにしていただきたいです」

佐津川 「いろいろな問題が組み込まれていますが、キャラクターのかわいさや優しさがセリフ選びから感じられ、私はすごく共感しやすかったです。温かい作品になると思うので、リスナーの皆さんも構えず、楽しんで聞いていただけたらうれしいです」

【プロフィール】

奥野瑛太(おくの えいた)
1986年2月10日生まれ。北海道苫小牧市出身。日本大学芸術学部映画学科に在学中から自主映画に出演。映画「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」で映画初主演。主な出演映画に、「太陽の子」「死体の人」ほか、ドラマではNHK連続テレビ小説「エール」、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(ともにNHK総合ほか)、「最愛」(TBS系)など。今回はオーディオドラマに初出演となる。


佐津川愛美(さつかわ あいみ)
1988年8月20日生まれ。静岡県出身。2005年の「蝉しぐれ」で映画初出演。以降、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「ヒメアノ~ル」など出演作は多数。NHKでは、連続テレビ小説「ちむどんどん」「スカーレット」、「定年オヤジ改造計画」ほか、FMシアターにも数多く出演。「夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ~」(テレビ東京系)で連続ドラマに初主演。

© 株式会社東京ニュース通信社