新NISAの選択肢にもなる【アクティブETF】、2つの高配当ETFに共通する21銘柄を公開

2023年9月7日(木)にアクティブ運用型ETF(以下、アクティブETF)が東京証券取引所に新規上場しました。

アクティブETFとは、日経平均株価など特定の指数に連動せず、連動対象となる指標が存在しないETFです。運用会社が予め取り決めた運用プランに準じて組み入れ銘柄などを選び、指数以上のパフォーマンスを目指す商品です。


新規上場したアクティブ運用型ETF6銘柄

海外市場ではアクティブETFが広がりつつあります。7月末時点で世界25ヵ国で取引されており、総資産残高は6,280億ドル(約90兆円)に達しています。ETF全体ではまだ6%程度ですが、過去10年間で約25倍に増えています。

今後、日本市場でも注目される商品だと思います。今回上場したのは合計6本のアクティブETFで、その内容や特徴について触れてみます。

PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)

運用会社:シンプレクス・アセット・マネジメント

PBR1倍割れの銘柄の中から利益水準、財務状況、流動性を総合的に勘案し投資銘柄を、同社独自の観点から選定します。

2023年春に東証がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対して改善策を開示・実行するよう要請したことが色濃く表れている商品だと思います。今回の組み入れは246銘柄で、地銀、証券、自動車部品、テレビ局、建設株などが目立ちます。

政策保有解消推進ETF(2081)

運用会社:シンプレクス・アセット・マネジメント

政策保有株式の純資産における比率が一定以上の銘柄の中から、利益水準、財務状況、流動性などを同社独自の観点で総合的に勘案し、投資銘柄を選定します。

政策保有株式とは株式を相互に保有しあう「株式持ち合い」の事を指します。企業が他社との関係などをスムーズにするために、日本では慣行として普及していましたが、昨今この流れを廃止していく傾向があり、その部分に特化した商品です。今回の組み入れは150銘柄で、銀行、テレビ局、建設株などの銘柄が目立ちます。

この2つのETFは、企業へ株主提案や株主総会で反対票を投じ、自社株買いや親子上場の解消、時にはMBOの提案なども含めて企業と対話を重ね、企業価値向上を促してリターンを得る狙いもありそうです。

投資家経営者一心同体ETF(2082)

運用会社:シンプレクス・アセット・マネジメント

取締役会構成員、およびその親族、資産管理会社などの議決権保有割合の合計が一定程度ある企業の中から、利益水準や財務状況、流動性などを同社独自の観点で総合的に勘案し、投資銘柄を選定します。

株をほとんど保有しない経営陣が経営を行うことも珍しくない状況の中、経営者の個人資産の多くが自社の株式であれば、自社の株式価値を高める−−つまり、経営陣が株主価値を重視した経営を行う可能性が高いと考え、その部分に特化した商品です。今回の組み入れは183銘柄で主な組み入れ銘柄は、ニデック(6594)やファーストリテイリング(9983)、ディスコ(6146)など、オーナー系企業が中心です

NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信(2083)

運用会社:野村アセットマネジメント

高ROEを維持できる企業への長期投資を中心に、ROE改善を期待できる企業に投資することで、株価の上昇をとらえるETFです。

ROE(自己資本利益率)とは、株主資本をどれだけ効率的に運用できたかを示す指標です。数値が高いほど良好で、企業の稼ぐ力量を表しており、その部分に注視し利益を生むことを目指しています。今回の組み入れは61銘柄で主な組み入れ銘柄は、エムスリー(2413)やソニーグループ(6758)、キーエンス(6861)、東京エレクトロン(8035)などです。

NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084)

運用会社:野村アセットマネジメント

安定的な「配当」と機動的な「値上がり益」の獲得により、中長期的なトータル・リターンの獲得を目指します。予想配当利回りは約4.0%を見込んでいます。投資をする方なら誰でも意識をする配当と値上がり益ですが、その部分に注視し銘柄を選定している商品です。今回の組み入れは99銘柄です。

MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信(2085)

運用会社:三菱UFJ国際投信

東京証券取引所に上場する大型株・中型株の中から、予想配当利回りの上位、高配当銘柄を選定し、銘柄ごとの組入比率は、流動性を勘案して決定。信用リスク懸念や無配懸念がある銘柄は定性判断で除外して運用します。運用会社の発表では、2023年6月末時点での予想配当利回りは5.0%となっています。今回の組み入れは30銘柄です。

2つの高配当ETF、NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信とMAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信に共通して組み入れられている銘柄は21銘柄ありました。減益の企業も含まれていますが、1銘柄を除き、いずれも配当利回りは4%以上となっています。

以下の表を参考にしてください。


紹介したETFの最低投資価格は、1,000円から5,000円程度です。組み入れ銘柄は東証のウェブサイトから確認でき、毎日更新されます。

来年から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)を見据え、金融商品の選択肢を広げて個人の投資拡大を促す役割もありそうです。

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