貧困、ジェンダー考える 茨城・水戸 池上さん 茨城大で講演

貧困やジェンダーについて講演する池上彰さん=水戸市文京

日本社会の見えない貧困やジェンダー不平等の問題を巡り、ジャーナリストの池上彰さんが17日、水戸市文京の茨城大水戸キャンパスで講演した。来場した学生ら約500人を前に、池上さんは「どう変えていけばいいか、若者が怒らないといけない」と訴えた。

池上さんは「SDGsから日本の未来を見る」をテーマに講演。自らが学生だった昭和中期を振り返り、服装などから「誰が貧しいか一目瞭然だった」と回想した。その上で非正規雇用が増え、表面からは見えにくい相対的な貧困や格差が生まれている現在との違いを説明、持続可能な社会に向けて「貧困をなんとかしなければいけない」と強調した。

第2次岸田再改造内閣の人事で、女性5人を大臣に起用する一方、副大臣と政務官に女性が1人もいなかったと指摘。国際社会で活躍している多くの日本人女性がいることを挙げ、「不平等が見える化している」と力説した。

講演後、池上さんは学生の質問に答え、「高校までは教わる『生徒』に対し、大学の『学生』は学びにいく、食らいついていくと、教えてくれる」と積極性を促した。

池上さんの講演は「ヒューマンライフシンポジウム~未来へつなぐメッセージ」(同市主催)の一環として行われた。同大の村上信夫教授ゼミの学生が企画内容を練り上げた。

© 株式会社茨城新聞社