9月18日は敬老の日。沖縄マスターズ陸上界のレジェンドといえば、宮古島市の97歳、亀濱敏夫さんだ。昨年、M95(男性95~99歳)クラスの200メートルで世界新記録(48秒09)を樹立。「健康は自分で守りたい。健康維持のため走り続ける」と、今年も大会に出場し健脚ぶりを見せつけた。(デジタル編集部・大門雅子)

10日に沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムであった第43回沖縄マスターズ陸上選手権大会。気温が32度を超え、暑さの中でのレースとなった。
M95の100メートルに出場した亀濱さんは、クラウチングスタートで飛び出すと、背筋をぴんと伸ばし、力強く腕を振った。
「いつもと違って足がふらふらしてしまった」。納得のいく走りではなかったが、記録は24秒36。6時間ほど後にあった200メートルにも出て、55秒82でゴールした。
年齢を5歳ごとにクラス分けして競うマスターズ陸上で亀濱さんは知られた存在だ。1925(大正14)年生まれ。終戦後、宮古島に戻って走り始め、競技歴は75年以上。2015年にはM90(90~94歳)クラスの400、800、1500メートルの3種目で世界記録をたたき出している。
生涯にわたって運動を楽しむ姿は「人生100年時代」のお手本のよう。健康の秘訣(ひけつ)は何か。亀濱さんの日課は「毎朝4時ごろに起床して、朝ご飯を食べた後、午前中に時間をかけて歩くこと」。好き嫌いなく何でも食べ、午後9時には就寝するという。
同じM95クラスに出場した宮古島市の新里春一さん(96)も、起床時間は午前4時と早い。日々、農作業に精を出し、畑で採れたものなど野菜中心の食事を心がけているという。早寝早起きや体を動かす習慣を、どれだけ継続できるかが大事なのだろう。

「ふくらはぎの筋肉の付き方は90代とは思えない」と話すのは、沖縄マスターズ陸上競技連盟の勢理客友子会長。亀濱さんの走りを初めて見る人の多くがびっくりするという。「あの年まで元気に走りたいと目標にしている選手は多いですよ」
亀濱さんは「優勝や記録が目的ではなくて、大会に出て周りの皆さんと話すのが楽しい」と語る。10月に山口県である全日本大会にも、もちろん出場する予定だ。