空き地を“公園”に 佐世保・高梨町内会主導 「地域が明るくなった」

整備した公園で開催した地域の祭り。住民が集う場になっている=佐世保市高梨町(東高梨町公民館提供)

 佐世保市の斜面地に位置する高梨町で放置されていた空き地が“公園”に生まれ変わった。地元の町内会「東高梨町公民館」が主導した市内では珍しい取り組み。空き地の増加が課題となる中、新しい形の解決策として注目される。
 公園は公民館の近くにあり、2区画分の敷地を使って整備した。全面に芝生を敷き詰め、開放的に。住民が作ったベンチを三脚置いて、ゆっくりくつろげるようにした。市管理の公園には位置付けられていないが、長年空き地だった場所は、近隣住民の憩いの場に姿を変えた。
 もともとあった家屋を解体後、20年近く空き地の状態が続いていたという。雑草は伸び放題で家屋の廃材や瓦は放置されたまま。東高梨町公民館の桑原正吉館長(71)が、景観をよくしてきれいな町で暮らしたいと県外に住む地主に連絡を取り、草刈りを開始。みんなで集える場所にしようと地主から土地を借り昨年5月、公園整備をスタートした。
 斜面地ならではの難しさがあった。建築機材が入らず、放置されていた瓦などを運び出すことができない。廃材は砕いて平らにして土をかぶせ、一部分は廃材を積み重ねて高さを出してステージのようにした。約5カ月かけて整備を終え、今では地域の祭りやラジオ体操の場として活用。住民からも「地域が明るくなった」などと好評という。
 市などによると市内の空き地の数はデータがなく分からないが、全国的な傾向と同じように増えていると推測される。空き地の放置は雑草の繁殖やごみの不法投棄につながりかねず、管理が課題。一方、所有者に代わって維持管理するのは負担の問題もあり簡単ではなく、市は「町内会が管理する例は珍しい」としている。
 東高梨町公民館の場合、桑原館長らが定期的に芝刈りをするなどして管理。祭りなどで不特定多数の人が公園を利用するため固定資産税は減免となっている。桑原館長は同じ地域の別の空き地の公園化も進めており「地主と町内会がウィンウィンの関係。空き地が増える地域の参考になれば」と話している

「休みの日に集える場所にしたかった」と話す桑原館長

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