Perfumeの3人にとって衣装とは? 「目指す道の形」「スイッチを入れてくれるもの」 神戸で大規模展

衣装展「Perfume COSTUME MUSEUM」の内覧会であいさつしたPerfumeの(左から)かしゆか、あ~ちゃん、のっち=7日、神戸市中央区脇浜海岸通1、兵庫県立美術館(撮影・長嶺麻子)

 女性3人組ユニット「Perfume(パフューム)」にとって、衣装とはどんな存在なのだろう。テンションが「ぶち上がる」もの。そして「目指す道の形」「スイッチ」でもある-。神戸市中央区の兵庫県立美術館で開かれている特別展「Perfume COSTUME MUSEUM(コスチューム・ミュージアム)」(神戸新聞社など主催)に合わせ、7日、内覧会のために来館したメンバー3人は、展示を見てこう語った。その深層にある思いを聞くため、神戸新聞社と、展覧会の基となった衣装本を手がけた文化出版局のファッション雑誌「装苑」編集部がインタビューした。

 -ダンスや音楽はもちろん、衣装や舞台美術も含めて、高い芸術性を併せ持ったユニットが、これほど長く第一線で活躍するのは稀有なことです。本展には、Perfumeが2005年のメジャーデビュー以降にライブなどで着用した衣装約180着が飾られ、歩みが凝縮されています。活動を続けられる理由、第一線で走り続ける原動力をお聞かせください。

 かしゆか「本当に、常に人に恵まれていて、Perfumeと一緒に面白いことをしてみたいとか、新しいことに挑戦するきっかけの場所として考えてくれている方が、たくさんいらっしゃると思っています。衣装も音楽も(演出振付家の)MIKIKO先生の振り付けもしかり、(テクノロジーを生かした演出を手がけるクリエイター集団の)ライゾマティクスさんの技術もしかり。総合的に他にはない、融合が生まれて。私たちも新しいことに挑戦することがすごく好き。そういうことをずっと追い求めていった結果、気づいたらここまで来たっていう感じがありますね」

 のっち「自分じゃ思いつかないようなPerfume像や未来を描けるプロフェッショナルの方々が周りにいらっしゃるおかげで、自分も夢を見られて、『次どんな作品出してくれるんだろう』って楽しみにできる。その一つが衣装だと思うので、今回はPerfumeへの期待が詰まった展覧会だなと思いました」

 あ~ちゃん「やっぱり、この3人でいることがすごく楽しい。3人で一緒に長くいるということが私たちの目標であり、夢であって。表現の方法は、年を重ねたり長く続けていくと、どんどん形は変わっていくと思うんです。衣装の流行りだけじゃなく、ダンスの考え方、ステージでの見せ方、演出も、テクノロジーと合わさって変わっていったところがいくつもある。そういう私たちの軌跡をひもといてくれるマニアックなファンの方たちが、どの年代にもいてくださって。おかげで、こういう創造や演出が生まれたと思います。自分たちの歴史そのものがアートになって、Perfumeっていうグループになってる。人に恵まれてるのは(かしゆか、のっちの)2人とも言ってましたけど、本当にそう。2人に出会えたこと、2人と一緒にいられること、それが原動力です」

 -Perfumeのみなさんにとって、衣装とは、どんな存在ですか。

 あ~ちゃん「なんかセーラームーンみたいな気持ちです。(変身できるようで、気持ちが)ぶち上がる。やめられんです。衣装を着たら、あ~ちゃんになる。テンションもモチベーションも、自分の持ってるポテンシャル(潜在能力)も、全てが『ぶち上がる』っていうものです」

 かしゆか「自分たちが目指す道の形だと思いますね。今のPerfumeはこういう形とか、ライブでお客さんに楽しんでもらいたい、こう共感してもらいたい、どういう風にしたらダンスが映えるだろうとか、何か未来を見て形にするのが衣装かな」

 のっち「スイッチを入れてくれるものですね。クールな衣装だったらクールスイッチが入るとか、かわいい衣装だったら、かわいいスイッチが入るとか」

 あ~ちゃん「のっち、特にそれあるよね。着るもので、もう人が変わるぐらい」

 -(のっちが)お気に入りとして選んだ衣装は、かわいいタイプのデザインが多かったですよね。

 のっち「めちゃくちゃ、自分で意外でした。私以外の2人はスカートが基本で、私はズボンが多いから自分のことをちょっとボーイッシュ、クールな印象って思ってたんです。でも、自分の好きな衣装を選んでみたら、三つともかわいくて」

 -新たな一面に気づく展示だったんですか。

 のっち「そうでしたね。かわいいスイッチも多分、自分の中にあって。ライブの時にそのスイッチが入ってる自分も好きなんだなって。いろんな自分があるんだなって思いました」

 -オリジナリティーある歩みで女性ユニットのロールモデルにもなっているPerfume。ユニットとして、個人として、どんなビジョン(将来像)を描いていますか。

 のっち「年齢に沿って、私たちが魅力的に見えるお衣装や振り付けで、時代時代の一番すてきなPerfumeを周りの人たちと協力して見せられてきたと思います。常にそうなんですけど、未知のPerfumeを歩んでいくことになるので、一番その時に自分たちが魅力的に見える何かと、また出会えるんじゃないかなと。だから、未知ですね。すてきな未来があるんじゃないかと期待してます」

 かしゆか「今までもそんなに未来を思い描いて、それに向かって走ってきたわけではなくて。自分たちがやったことない、挑戦したいとか、刺激的だとか、見てみたい世界とかを、その時に思いついてるものを全力でやってきてる。先を想像するっていうのが難しいんですけど、3人が納得して心から楽しめること、そして刺激的なことをやっていきたいな。見たことないことがしたいっていう気持ちは、常にありますね。実験的なお話、待ってます」

 あ~ちゃん「3人でいられたらいいなって思います。なんかそのPerfumeにこう、人生をささげてずっとやってきたことが、なんか自分たちの自信と、やっぱり一番楽しいなって思えるところなので。形が変わっていくかもしれませんけど、その道が続いてたらいいな」 (まとめ・小林伸哉)

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 展覧会は11月26日まで。月曜休館(9月18日と10月9日は開館し、いずれも翌日休館)。一般1800円、大学生1400円、高校生以下無料など。同美術館TEL078.262.1011

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