新人議員当選から4カ月余 長崎市議会、多様な顔触れ 活動を探る

 4月の統一地方選で長崎市議会に30~60代の新人議員10人が誕生した。出身地域や組織、所属政党や会派も異なる顔触れ。当選から4カ月余り、1日から2回目の定例会に臨んでいる。新人議員から見た市政や議会の姿を探ろうと、10人にアンケートとインタビューを申し込み、7人が応じてくれた。

■なんで赤い
 40代のある議員は初登庁の日、議会フロアに入って驚いた。他の階と異なり、赤いじゅうたんが敷かれている。「なんで赤いの?」。市議会事務局によると、旧市庁舎の議会フロアの雰囲気を継承しただけで、赤いじゅうたんの理由は分からないそう。
 当選して一段落と思いきや、あまりの忙しさに「てんやわんや」。あいさつ回りや政党などの仕事の傍ら、市政に関する勉強の必要性を痛感することが多い。街灯設置など市民の困り事や要望を聞き、市の担当課に話したり、現地を視察したり、表に見えにくい仕事もある。要望通りに解決し、やりがいを感じることもあるが「自由な時間はなかった」と振り返る。
 当選後の変化の一つに複数の議員が挙げたのが「周囲の対応」。声をかけられることが増えたほか、問い合わせに対する市職員の対応が早くなり「市民の代弁者として動かないといけない」と気を引き締める。

■もやもやと
 さまざまな話題が飛び交う議会。6月下旬から7月上旬にかけて初の定例会では、新人議員5人が一般質問に登壇。「自身の公約」「関心事」「市民の要望」など-。現地ヒアリングや資料調査を重ね、質問を練り上げた。「質問後に叱咤(しった)激励の声をもらった」と市民の関心の高さをあらためて感じた議員も。50代議員は「事前に担当部局と綿密に打ち合わせた結果、台本のようなものが仕上がってしまい、もやもやした」とこぼす。別の議員は「前向きな(市側の)答弁だったが、具体的ではなかったので、今後も進捗(しんちょく)を追わなければ」とチェックの目を光らせる。
 常任、特別各委員会での審査も初めての経験。「議会運営委員会」「付託」など議会の用語は分かりにくく、先輩議員らに尋ねた。「一般質問が注目されがちだが、委員会で繰り広げられる経験や知識に裏打ちされた議論に、期を重ねた議員の声の重みが分かった」と答えた議員も。
 他の議員の一般質問や委員会審査中、ノートやタブレットでのメモは欠かせない。ノート派の議員は発言者や重要度で色分け。タブレット派は内容事に「#=ハッシュタグ(検索目印)」を付け、後から調べやすくしていた。「自身の質問時の参考にする」という声が多く、一般質問の回答、質問と答弁の時間配分、数字、用語を書きとどめた。

■動画を撮影
 定例会終了後、多くの議員が自身の質問内容などをまとめた「議会だより」を作成。日頃から地域行事などに顔を出し、対話を欠かさないよう心がける。月1回を目標に街頭演説やビラ配りを続ける議員は「支援者以外の多くの市民に接するため、これからも続けたい」。
 双方向でコミュニケーションが取れる交流サイト(SNS)は複数の議員がフル活用。文章や動画を通して日々の活動や自身の考えを定期的に投稿している。40代のある議員は仕事の合間で動画を撮影、編集し「市政と市民をつなぐ身近な存在になりたい」と言葉に力を込めた。

© 株式会社長崎新聞社