「米澤ポランの廣場」に功労賞 宮沢賢治学会イーハトーブセンター

「米澤ポランの廣場」の記念誌を読み返す本間哲朗さん=米沢市

 宮沢賢治作品の読書会を30年以上続けてきた「米澤ポランの廣場(ひろば)」(米沢市)が、2023年度宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞に選ばれた。本県からの受賞は初で、長年の研究、発信活動が評価された。ポランの廣場は会員の高齢化などで年内解散が決まっており、代表の本間哲朗さん(67)=米沢市万世町梓山=は「有終の美となる受賞」と喜びを語る。

 ポランの廣場は1990年6月の設立で、現在の会員数は11人。県外在住で、事前に作品を読んで感想を寄せるメンバーも含まれている。「グスコーブドリの伝記」「銀河鉄道の夜」など童話を中心にテーマを決めて月1回、会合を開き、感想などを語り合っている。解釈や意見を載せた「廣場通信」を毎回発行し、50回ごとの節目には作品論などをまとめた記念誌を出している。

 今回の受賞では、これらの活動実績や宮沢賢治をオマージュした造形展の開催などが高い評価を受けた。

 会合は主に、本間さんの自宅で開き、天気がいい日は自宅そばの森林内で明かりをともし、料理を持ち寄って語り合うことも。「賢治の作品は一人で読むのが難しく、考え込んで手が止まることがある。複数人なら最後まで読むことができ、ふに落ちることが出てくる」と本間さん。高齢化に伴う活動の先細りが見込まれ、通信や記念誌の発行が負担になってきたことから、今年10月の400回目の読書会が最後と決まった。

 最後の年での受賞に、驚きを隠せなかったという本間さん。活動の歩みを振り返り、賢治の思想の幅と深さを改めて感じるとした。ポランの廣場は終わっても「作品を読むことはライフワークであり、会員は変わらぬ仲間」と続けた。

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞 同センター(岩手県花巻市)が2016年に創設。宮沢賢治の存在と作品に触発され、長年にわたり普及・研究活動を重ねてきた個人、団体を顕彰する。23年度の受賞は、米澤ポランの廣場、栃木・宮沢賢治の会の2団体。贈呈式は花巻市定住交流センターで今月22日に行われる。

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