まちを元気に、町が団体設立 未利用魚や「体験」で新たな特産品を、和歌山・すさみ町

高台への新築移転後、すさみキャンパスの事務所が入る予定の国保すさみ病院(和歌山県すさみ町周参見で)

 和歌山県すさみ町は、新たな特産品の開発や空き家の活用などを通じて地域活性化を目指す一般社団法人「すさみキャンパス」を設立した。今後、市場で流通しにくい「未利用魚」の加工・販売や都市部からの教育旅行誘致などに取り組む計画。

 町によると、地方創生に関わり、地域社会を発展させるために設立した。物産・観光・移住に関する情報収集と広報・情報発信▽第1次産業の事業承継に資する事業▽地域内外の交流促進と関係人口の創出▽旅行商品の企画・開発・営業・運営―などに取り組む。

 団体は、町職員3人と町集落支援員1人の計4人が代表理事。南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポート(白浜町)社長の岡田信一郎さんと経営・人事コンサルティングなどを手掛けるYeeY(イェーイ、沖縄県南城市)代表取締役の島田由香さんがアドバイザーを務める。地域おこし協力隊3人、町集落支援員2人を雇用する予定。事務所は、町内の高台へ移転した後の国保すさみ病院の旧施設内(すさみ町周参見)に置く。

 町によると、当面は町職員が出向するが、事業が軌道に乗ったところで町職員を引き上げ、民間事業者として活動してもらう。活動経費として、団体に対し、ふるさと納税の一部を補助金として計上していく。物だけではなく、町内でのさまざまな体験を特産品として開発することで、ふるさと納税を増やし、団体への補助金を増やすといった好循環をつくり出したいとしている。

 団体設立のメリットとしては、スピード感を持って各種事業に取り組めること、人材を固定して長期にわたって効率的に事業を進められることなどを挙げている。

 「すさみキャンパス」との名称には、町全体が学びの場、人が集う場になってほしいとの思いが込められている。

 岩田勉町長は「すさみ町の良さを多くに知ってもらうための団体。町役場ではできないことをやってもらいたい」と期待している。

 町議会9月定例会で可決された関連予算は約4600万円。そのうち約3900万円がふるさと納税。内容は、公用車、真空包装機、製氷機、大型冷蔵庫といった備品購入費など。

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