見た目ではわかりづらいつらさもある小児がん 大人にできることは? 沖縄の児童館兼ホスピス予定地で啓発イベント

 小児がんを知ってもらう世界的な啓発月間に合わせて9日、建物などを金色にライトアップする「グローバル ゴールド セプテンバー キャンペーン」が沖縄県うるま市江洲であり、空き地がろうそくやライトで照らされた。日本では2021年に15カ所で始まり、今年は60カ所以上で実施され、沖縄では初めて。活動に共鳴した「子ども応援団 笑びん」など県内6団体が企画した。(中部報道部・平島夏実)

 小児がんは白血病、脳腫瘍、リンパ腫、神経芽腫などの総称。治療法が進歩し、5年生存率は7~8割まで上がっているという。

 イベントでは、小児緩和ケア医で訪問診療医の宮本二郎氏が登壇し「小児がんの子どもたちには見た目では分かりづらいつらさがある」と理解を求めた。

 治療が終わった後も身体の発育や知能・認知機能、生殖機能などに影響が出る場合があり、定期的な通院が必要になる。「治ったはずなのになぜまた学校を休むの?」という言葉にショックを受ける例や、出席日数が足りずに希望していた進学を諦める例もあるという。

 患者だけでなく、そのきょうだいもストレスにさらされる。例えば、家庭内に感染症を持ち込まないよう気を使わなければならない。

 宮本医師は「大人が優しく説明してあげると、子どもたちの不安が和らぐ場合がある。隠さないで話せる雰囲気が大切ではないかと僕は思います」。スヌーピーやその仲間が病気をテーマに考える絵本「チャーリー・ブラウンなぜなんだい? ともだちがおもい病気になったとき」を薦めた。

 今回ライトアップした空き地は、難病や障がいのある子どもたちも使えるような児童館兼ホスピスの建設予定地。26年オープンを目指している。

 200個以上のろうそくやライトを地面に並べ、啓発シンボルの「ゴールドリボン」の形に照らした。

 会場では、啓発キャンペーンを主催するNPO法人「日本小児がんグループ(JCCG)」に全額を寄付しようと、沖縄ピースライオンズクラブがレモネードを販売した。活動は「レモネードスタンド」と呼ばれ、米国で定着している。

講話する宮本二郎医師
「ゴールドリボン」の形にライトアップした空き地=9日、うるま市江洲

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