17歳の“最年少記録保持者”がトヨタGR010ハイブリッドをドライブへ。ルーキーテストの選抜ドライバー発表

 WEC世界耐久選手権は9月18日、今季最終戦直後の11月5日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行う『ルーキーテスト』に出走する、3名のドライバーを発表した。

 このテストは最終戦翌日恒例となっており、2023年に「WEC/ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)を通して模範的なパフォーマンス、レーススキル、コミットメントを示した」ドライバーを、WECおよび共同プロモーターであるACOフランス西部自動車クラブが選抜し、各クラスのチャンピオンマシンで最低30周ドライブする機会を与えるもの。

 2022年末のテストでは、リル・ワドゥ、ロレンツォ・コロンボ、ドリアーヌ・パン、フィン・ゲアジッツがシリーズの推薦を受けて出走し、ワドゥとパンは2023シーズンのWECフル参戦を果たしている。

 今回2023年のルーキーテストに選出されたのは、ジョシュ・ピアソン(ハイパーカーをドライブ)、ニコラス・バローネ(LMP2をドライブ)、アントワーヌ・ドキン(LMGTEアマをドライブ)の3名だ。

2023年のWECルーキーテストでシリーズ推薦枠からの出走が決まったジョシュ・ピアソン、ニコラス・バローネ、アントワーヌ・ドキン

 アメリカ・ポートランド出身、17歳のピアソンは、トヨタGAZOO RacingのGR010ハイブリッドをドライブする。ピアソンは2022、2023シーズンとユナイテッド・オートスポーツからLMP2クラスにフルエントリーしており、2022年のル・マン24時間では、当時16歳と最年少出場記録を更新した期待の若手だ。

「特にトヨタのような経験豊富で、このスポーツに情熱を注いでいるチームと一緒にハイパーカーで初めての経験ができることに、とても興奮している」とピアソンはコメントしている。

「このプロジェクトに選ばれたことを非常に光栄に思うし、感謝している。ユナイテッド・オートスポーツ、コ・ドライバー、そしてドライバー・コーチのスティーブン・シンプソンにも感謝したい。テストを始めるのが待ちきれないよ」

 アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のバローネも、今季のWECに参戦している。22歳の彼はLMGTEアマクラスでコルベット・レーシングのシボレー・コルベットC8.Rをベン・キーティング、ニッキー・キャツバーグとともにドライブし、第5戦にして早々とタイトルを決めた。バローネはLMP2クラスの年間優勝車両をテストすることになる。

 フランス出身のドキンは、LMGTEアマクラスのタイトル獲得車両、コルベットC8.Rのステアリングを握る。19歳の彼はカートでキャリアを積んだ後、2020年にはクール・レーシングからELMSに参戦し、2022年にはCD Sportから出場したアジアン・ル・マン・シリーズのLMP3カテゴリーを制した。今季はレーシング・スピリット・オブ・レマンからELMSのLMP3クラスに参戦し、ル・カステレ(ポール・リカール)4時間レースで優勝、現在ランキング2位につけている。

 FIA WECのフレデリック・ルキアンCEOは、3人の推薦ドライバー発表に際し、次のように述べている。

「FIA WECは才能あるドライバーに事欠かない。ジョシュ、ニコラス、アントワーヌが選ばれたことは、WECとELMSの双方にハイレベルなドライバーがいることの証だ」

「我々は耐久レースにおける若い才能の育成を常に考えており、ルーキーテストがドライバーの将来のキャリアにとってどれほど有益なものであるかを過去に見てきた。この3人がバーレーンでどのような走りを見せるか、楽しみにしている」

 ルーキーテストは2023年第7戦バーレーン8時間レースの翌日となる11月5日の午前2時間、午後3時間の走行枠で行われる予定だ。テスト全体のフルエントリーリストは、後日公開されることとなっている。

 なお、このWEC最終戦およびルーキーテストの日程はスーパーGTの最終戦と重複しているため、来季海外でのレース活動が有力視されているTGR WECチャレンジドライバーの宮田莉朋の参加は難しいと思われる。

ジョシュ・ピアソンがWECルーキーテストでドライブする予定の、トヨタGR010ハイブリッド
WECルーキーテストでアントワーヌ・ドキンがドライブする予定の、シボレー・コルベットC8.R

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