YARTヤマハが14年ぶりにEWCチャンピオン獲得。レースはヨシムラSERTが優勝/2023最終戦ボルドール24時間

 9月16~17日にフランスのポール・リカール・サーキットで2023FIM世界耐久選手権(EWC)第4戦ボルドール24時間耐久ロードレースの決勝レースが行われ、ヨシムラSERT Motul(グレッグ・ブラック/シルバン・ギュントーリ/エティエンヌ・マッソン組)が717周を走り優勝を飾った。年間チャンピオンは4位フィニッシュのYART Yamaha Official EWC Teamが獲得している。

 14日と15日に行われた2度の予選では、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMがポールポジションを獲得して5ポイントを追加。2番手にヨシムラSERT Motul、3番手にF.C.C. TSR HONDA FRANCE、4番手にYARTヤマハが続き、チャンピオン候補が上位につけた。Kawasaki Webike Trickstarは7番手だった。

2023EWC第4戦ボルドール24時間 スタートシーン

 決勝日はレース1時間前まで雨が降り路面はウエットに。グリッドウォークの時間には雨は上がったが、サイティングラップでコースを確認した結果、多くのチームが雨用のタイヤを選択した。

 そしてMotoGPライダーのヨハン・ザルコの合図で現地時間15時にレースがスタート。曇りだが、路面はウエットパッチがある状態で、すぐに路面が乾いていったため10分ほどでピットに入りスリックタイヤに変更していくチームが見られた。そんななか、初めからスリックタイヤを履いていたYARTヤマハは序盤は遅れをとったものの上位に進出した。

 1時間が過ぎる前には、SSTクラス優勝候補のTECMAS-MRP BMW RACING TEAM、トップを走行していたERC ENDURANCE DUCATIの転倒など不運が続き両者はレースを諦めた。これでセーフティカー(SC)が導入されて各チームの差も縮まったり、半周差がついた。

TONE RT SYNCEDGE 4413 BMW/2023EWC第4戦ボルドール24時間 決勝

 また、2時間経過を前に、最終コーナーの手前でHONDA NO LIMITSとTONE RT SYNCEDGE 4413 BMWが絡む転倒があり2台はマシン修復に時間を要した。

 5時間30分が過ぎた頃には、トップのヨシムラSERT Motulがスリップダウンしたが、すぐに戻り数秒のロスで済む。9時間半には、BMWモトラッドがピットにマシンを入れてパーツを交換した。ここまでは、YARTヤマハ、ヨシムラSERT Motul、TSRホンダ、BMWモトラッドが表彰台争いをしていた。

ヨシムラSERT Motul/2023EWC第4戦ボルドール24時間 決勝

 レースが折り返しに入る前にはTSRホンダにトラブル。ピットレーンでマシンを止めてガレージまで押していく。その後、エンジンをバラすなどマシンの修復が長時間行われたが、原因の特定ができずリタイアを決断。チャンピオン争いから離脱する。

 約15時間にはKWTがピットに入り3分30秒ほど修復。ほぼ同じタイミングで、BMWモトラッドも再びマシンの修復に取り掛かる。さらにその後にHONDA VILTAiS RACINGもピットストップで2分ほどロスする。

YART Yamaha Official EWC Team/2023EWC第4戦ボルドール24時間 決勝

 レース後半にはYARTのマシンにトラブルがあり、ラジエーターに冷却水を足す作業を複数回行いタイムロスがあった。

 残り3時間半の時点では、ミストラル・ストレートの出口にオイルが出て、9台が転倒。ヨシムラ、KWT、そしてTONEなどもこれに巻き込まれ、マシン修復を余儀なくされた。

 その1時間後にはホームストレートでMETISSがエンジンブロー。オイルが出たためSCが導入されて路面の清掃が行われた。

2023EWC第4戦ボルドール24時間 表彰式

 そして、転倒やマイナートラブルがあったもののヨシムラSERT Motulが優勝を飾った。2位はHONDA VILTAiS RACING、3位はBMWモトラッド。チャンピオンは4位フィニッシュのYARTヤマハが2009年以来、ヤマハとしては2016-17シーズン以来に獲得。ランキング2位はヨシムラSERT Motul、ランキング3位はBMWモトラッドだった。

 SSTクラスではTEAM 33 LOUIT APRIL MOTOが優勝、CHROMEBURNER-RAC 41-HONDAが2位、TEAM 18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTOREが3位だった。

 しかし、翌日の車検でCHROMEBURNER-RAC 41-HONDAに燃料タンク違反が見つかり2位とSSTチャンピオンがなくなり、SST王者はTEAM 33 LOUIT APRIL MOTOが優勝でSST王者に。TEAM 18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTOREが2位、PITLANE ENDURANCE – JP3が3位に入った。日本から参戦したTONE RT SYNCEDGE 4413 BMWは総合21位(SSTクラス10位)だった。

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