神宮外苑 緊急要請出したイコモスが再開発中止を求め会見

明治神宮外苑の再開発計画を巡り、今月、計画撤回を求める緊急要請を東京都や事業者に出していたユネスコの諮問機関=イコモスが会見を開き、改めて再開発中止を呼び掛けました。

委員長:「イコモスとしては文化遺産の不可逆的な破壊とみている」

神宮外苑の再開発計画を「破壊」として批判したのは、イコモスの国際文化的景観委員会のエリザベス・ブラベック委員長です。再開発計画では、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直し、新たに高層ビル2棟を建てることが予定されています。しかし、計画に対し、周辺樹木の大量伐採やイチョウ並木への影響を懸念する声が上がっていました。

樹木を移植する方向で計画を進める事業者に対し、ブラベック委員長は「遺産と呼べる森林が失われるというのは、どんなに新たに植林しても同じものにはならない」として再開発の中止を呼びかけました。

今月7日、イコモスは文化的資産が危機に直面しているとして、事業者や認可した都に対し計画の撤回を求める緊急要請「ヘリテージ・アラート」を出していました。このヘリテージアラートに対し、事業者の一つ、三井不動産は「内容を確認中でコメントしかねる」としています。今回のイコモスの会見について小池知事は…

小池知事:「(ヘリテージアラートは)かなり一方的な情報しか入っていないのではないか。しっかりと事業者の方でも説明をより丹念にすべきだと改めて思いました」

東京都は9月12日、事業者に対し樹木の保全に関する具体的な見直し案を提出するよう求めています。

国際的な機関からも疑問の声が上がった、神宮外苑の再開発ですが、イコモスからどのような要請があったのか見ていきます。今回、神宮外苑の再開発を中止するよう求めたのは、世界文化遺産登録の審査やモニタリング活動などを行うイコモスで、ユネスコの諮問機関になります。そのイコモスが9月7日、神宮外苑の再開発により、文化的資産が危機に直面しているとして、「ヘリテージ・アラート」というものを出しました。

この「ヘリテージ・アラート」は、不可逆的な形で喫緊に文化遺産が失われてしまうことに対して、イコモスが最大限の懸念を示すもので、8月中旬に日本イコモスがイコモスに対してアラートを要請し、9月9日まで行われたイコモス総会でアラートの発出が決定したということです。日本イコモスによれば、反対の意見はなく、要請から半月で決定するのは、異例の早さだったということです。

今回の「ヘリテージ・アラート」は、国内では3例目となるもので、去年、高輪ゲートウェイ駅前の開発区域で出土した鉄道遺構「高輪築堤」以来で、法的拘束力はありません。

そしてこちらが、今回出された「ヘリテージ・アラート」になります。日本語版と英語版があり、岸田首相や小池知事、事業者宛てになっています。要請の内容としては、
・市民や利害関係者と協議することなく、高層ビルの建設に強く警告を発する
・再開発を直ちに中止し、神宮外苑を後世に残すよう求める
・都に対し、都市計画決定の見直しを要請する
・環境アセスメントの見直しを要求する、という内容になっています。

この要請に対し、事業者のひとつである 三井不動産は「内容を確認中でコメントしかねる」とし、小池知事は、「かなり一方的な情報しか入っていないのではないか事業者の方でも説明をより丹念にすべきだと改めて思いました」としています。

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