八丈島 移住体験ツアーに密着 島の暮らしは 東京都が今年度から実施

多摩地域や島しょ部で進む人口減少や高齢化への対策として、東京都は今年度から移住を考える人に向けたツアーを開催しています。今回、都心から南に290キロの八丈島で行われたツアーに密着しました。

今月、八丈島に移住を検討している人たちへ向けた3泊4日のツアーが行われました。かつて「東洋のハワイ」とも呼ばれ、美しい星空や豊かな自然が魅力の八丈島。埼玉県に住む大学生の本舘さんは、幼い頃に読んだ離島が舞台の少女漫画をきっかけに島暮らしに憧れ、今回ツアーに参加しました。

本舘さん:「(島での暮らしは)どんな感じなのかな。もし子どもを育てるなら(暮らしぶりを見て)検討したい」

参加者たちを乗せたバスが向かうのは…「三根小学校、そして八丈高校ですね」まず、訪れたのは、1学年が30人ほどの島の小学校。雄大な八丈富士を望む校庭で年に1度行われる運動会では、保護者や地域の人なども競技に参加するなど、町ぐるみで子どもたちの成長をサポートしているといいます。

また、暮らしに欠かせない病院やスーパーマーケットなどを回り、現地での生活をよりリアルにイメージしてもらうことで、移住につなげてもらう狙いです。

本舘さん:「卵が高い!400円もするの。高めですね」

スーパーに並ぶ商品のほとんどが船や飛行機で運ばれてくるため、配送料が上乗せされ、価格が割高なのも島の現実です。

八丈島は、1950年ごろ約1万3000人に上った人口が去年7000人を切り、最盛期の半分ほどに。八丈島でレストランを運営する大沢さんは、参加者に移住してもらうことで島に新たな力を呼び込みたいと話します。

大沢さん:「移住者が来たおかげで新しく店が作れたりしているので、移住者の力を我々も借りながら、お互い共存していける社会を作れれば」

そしてツアーでは、先輩移住者からよりリアルな声を聞く機会がありました。

川島さん:「飲み屋さんがなかったり、買い物だったり、種類多く買いたいときは下(の地区)までわざわざ行く。その往復が結構大変」

会社員をやめ、世田谷区から5年前に八丈島に移住した川島さん。農業を営みながら愛犬と暮らす川島さんは、島ならではの苦労はあるものの、それを補って余りある島の魅力があるといいます。

川島さん:「都心でいつも往復3時間の通勤があって仕事をして、その仕事も自分のためにもならないし。自然の中で生活して、お金の安定より心の安定。結果的に田舎に来て、職を変えてよかった」

八丈島での暮らしの魅力も苦労も肌で感じた参加者は、移住への思いを新たにしたようです。

本舘さん:「もし子どもを産むとなったら、子育ても充実しているし、町の人もみんないい人なので、すごく住みやすいと思った。少女漫画ですごく憧れていたので、もし自分に子どもができたらこういうところで恋をさせて大きくなってほしい。もう1回来たい」

改めて東京都が主催するこのツアーについて解説してもらいます。移住を検討する人に向けたこちらのツアーは、東京都が多摩・島しょ地域で8月から実施しています。今年度中に75回程度を実施し、合計で1000人ほどの参加者を見込んでいるということです。ツアーを企画する東京都の担当者は「多摩・島しょ地域では人口減少や高齢化で『担い手不足』が進んでいる」としたうえで、「このツアーを移住を検討する材料として活用してもらえれば」と話しています。

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