【台風13号】仮設住宅、提供進む 茨城県内3市30世帯 生活再建へ一歩

高萩市役所に設置されている応急仮設住宅の受付窓口=18日午前、同市本町

台風13号に伴う大雨の被害が集中した日立、高萩、北茨城の茨城県北3市で、一時的な避難先となる仮設住宅の提供が進んでいる。3市では計約30世帯(18日現在)が仮住まいに入居。被害を免れた家財道具などを運び入れた住民たちは安堵(あんど)の表情を浮かべ、生活再建に向けて一歩を踏み出した。

高萩市では、関根川や玉川が越水するなどして162棟(同)が床上浸水。市は自宅に住めなくなった世帯を対象に、災害公営住宅の空室8室を「応急仮設住宅」として来年9月までの1年間を無償で提供。また、要望に応じて民間の賃貸住宅を借り上げ、みなし仮設住宅として1年間無償で提供している。市都市建設課によると、21件の入居相談(同)が寄せられ、既に計11世帯の入居が決まった。

同住宅は同市上手綱にあり、2011年の東日本大震災を受け、市が被災者向けに建設。1人暮らししていたという女性(88)は、同住宅へ入居し「不安はあるが、仮住まいが見つかって良かった」と胸をなで下ろす。同市下手綱の自宅の浸水被害は床上約80センチに上ったといい、家電製品や畳、風呂、トイレが使えなくなり、市内にある娘宅に一時避難していた。

女性は、入居する仮設住宅について「立派な部屋。1人暮らしには十分」と安心した様子で話した。引っ越し作業を手伝った娘(63)も「こんなに早く決まると思わなかった。環境が変わって心配はあるけれど、母の安心している表情が見られたのは良かった」と話した。

住宅の床上浸水が284棟(同)に上った北茨城市では、自宅が被災した住民から市営住宅への入居希望などの相談が22件寄せられた(15日現在)。

市営住宅の空き状況は5カ所計11戸のため、市は入居希望者から聞き取りした上で、緊急的な対応が必要と判断した11世帯に入居を案内。今後は、他の被災者の入居に向けて民間の賃貸住宅を借り上げて提供することも検討している。

同市では、市役所隣の複合防災・学校給食センター(同市磯原町磯原)に避難所を開設しており、1世帯2人(18日現在)が避難している。

日立市は住宅153棟(同)が床上浸水の被害を受けた。市は一時的な避難先として無償で市営住宅を提供。自宅が浸水被害を受けた被災者などが対象で、期間は3カ月。市市営住宅課によると、受け入れ可能な住宅は29戸あり、18日までに7戸を提供した。

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