稲垣吾郎「社会の“バグ”は本当にいるの。悪魔みたいなやつがいるんだよ!」『正欲』予告編

朝井リョウが作家生活10周年で書き上げた渾身の一作を、岸善幸監督が、出演に稲垣吾郎、新垣結衣を迎え映画化する『正欲』が、11月10日より公開される。このほど、予告編とポスタービジュアルが披露された。

本作は、家庭環境、性的指向、容姿、様々に異なった“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的なストーリー。

予告編は、「自分がどういう人間か、人に説明できなくて息ができなくなったことってありますか?」と夏月(新垣結衣)が啓喜(稲垣吾郎)に問いかけるシーンから始まる。正義で世界を測る検事の啓喜は「社会の“バグ”は本当にいるの。悪魔みたいなやつがいるんだよ!」と語り、そのセリフとともに登場人物たちの意味深で印象的な表情が次々と映し出される。「あんたが想像もできないような人間はこの世界にたくさんいるんだよ」と語る大也(佐藤寛太)。「誰にもバレないように、無事に死ぬために生きてるって感じ」とつぶやく佳道(磯村勇斗)。検事の啓喜は一体何と対峙していくのだろうか…。

家庭環境や指向、見た目など、様々に異なる彼ら。違う場所、違う人生、違う境遇で生きていて、まったく接点がないように見える彼らの距離が少しずつ近づいていき、予想もできなかった“ある事件”をきっかけに交差する。「生きるために必死だった道のりをありえないって簡単に片付けられたこと、ありますか?」と、問いかける夏月。そして、水浸しのベッドに横たわる夏月の画とともに映し出されるタイトル「正欲」。その言葉の意図するものとは?交差した彼らの人生はその後どこに向かうのか?

ポスタービジュアルは、何か遠くを静かに見つめる啓喜と、無言で前後に並びバスに揺られる夏月と佳道、そして「観る前の自分には戻れない」のコピーが印象的な一枚となっている。

また、本作の主題歌を、若者を中心に幅広い世代で絶大な人気を誇るVaundyが担当することが決定。Vaundyが映画主題歌を手掛けるのは、本作が初となる。主題歌となったのは、Vaundyの未発表楽曲である『呼吸のように』。書き溜めた未発表の曲から、映画の世界観に合うものをVaundyが選び提供。まるで書き下ろしたかのように映画世界を端的に凝縮した、かけがえのない人とのつながりを歌うその楽曲は、深い余韻を本作の最後に響かせる。

■Vaundy コメント
自由でいることの窮屈さや、共鳴を求めてしまう心の寂しさが描かれているこの映画ですが、必ずしも共感をしなくてもいい、できないのもいいのかもしれない、と僕は感じました。生きるということは息を吸うということ。少しでも長く君と同じ空気を吸っていたいのさ、というシンプルな想いをこの曲にこめています。自分の中に溶けていくような音楽になるよう心がけたので、映画館で最後まで浸ってもらえたら嬉しいです。

『正欲』
2023年11月10日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:岸善幸
原作:朝井リョウ「正欲」
脚本:港岳彦
主題歌:Vaundy「呼吸のように」
出演:稲垣吾郎 新垣結衣 磯村勇斗 佐藤寛太 東野絢香 山田真歩 宇野祥平 渡辺大知 徳永えり 岩瀬亮 坂東希 山本浩司
配給:ビターズ・エンド

【ストーリー】 横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子はそんな大也を気にしていた。

© 2021 朝井リョウ/新潮社 © 2023「正欲」製作委員会

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