こども園にリニューアル 茨城県内最古の土浦幼稚園 10月、市立で初

認定こども園としてリニューアルする土浦幼稚園=土浦市文京町

茨城県内初の幼稚園として明治時代に設立された土浦市立土浦幼稚園(同市文京町)が10月、認定こども園としてリニューアルオープンする。140年近い歴史を刻んだ幼稚園は、共働き世帯の増加や少子化で需要が減少。時代の要請に合わせる形で、保育機能を加えることになった。

市によると、同幼稚園は1885(明治18)年、土浦西小(現在の土浦小、同市大手町)の付属幼稚園として開園。ドイツで世界初の幼稚園を設立した教育家が提唱した「フレーベル教育法」に基づき、楽しく遊びながら表現力や認識力を自然に学べる積み木や色板などの遊具「恩物(おんぶつ)」などが取り入れられた。

開園当初、日本初の幼稚園を開設した東京女子師範学校(現お茶の水女子大)教師だった豊田芙雄(ふゆ)が保母(現在の幼稚園教諭)として赴任。開園時に寄付を受けた鐘は、戦中の金属供出を避けるため埋められたとみられ、戦後に園庭の土の中から見つかった。1927年には米国から「青い目の人形」が寄贈されるなど、茨城県最古の幼稚園として数々の歴史が残る。

同幼稚園は2012年、現在地の市立いくぶん幼稚園(当時)の敷地に移転、統合した。その後、市の幼稚園再編計画に基づき22年3月で廃園となる予定だったが、5カ所ある市立保育所の老朽化や教育ニーズを踏まえ、園舎を活用する方針に再度変更され、改装のためいったん閉園していた。現在、土浦市立として唯一の幼稚園となっている。

今年10月に市立東崎保育所(同市東崎町)の機能を集約し、同市立としては初めての認定こども園となる。

市こども政策課によると、改装費用は設計費などを含め約4億5千万円。鉄筋コンクリート造り2階建てで、園庭には芝が広がる。定員は教育(幼稚園、3~5歳)40人、保育(1~5歳)70人の計110人。

市は「保護者の就労の有無にかかわらず子どもを預けることができ、保育と教育の両方を受けられるなど、ニーズに柔軟に対応していく」としている。

関東大震災翌年の1924年に建て替えられた土浦幼稚園舎=土浦市大手町(土浦市立博物館蔵)

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