金婚夫婦

 「韓国、中国、ベトナム、タイ、インドネシア。サウジにクウェートにスペイン、メキシコ、エルサルバドル…」。プラント輸出の仕事で30年ぐらいは海外に単身赴任してたんです、ダメって言っても自分で手を挙げて行っちゃうの▲と、夫婦の半世紀を振り返ってくださったのは相川義信さん・直美さん=長崎市=。「帰ってくるたび、新婚さんみたいで」と妻、「海外の大家族を目にして、自分も家族を大事にしよう、と」と夫。本紙の「金婚夫婦表彰」の記念撮影でお話を聞いた▲「長女は小学校を4回転校したかな」-濵田文秀さん・すみ子さんご夫妻=同市=は銀行勤めの宿命で転勤族。「苦労も多かったけど変化も楽しんで、いろいろあって今の自分たちです」▲「長続きの秘訣(ひけつ)? そりゃいろいろ言うても忍耐よ」と坂本昭雄さん=諫早市=。妻の幸子さんは「あたし、こうだから」と耳から耳にすっと矢印をつくって笑顔▲ノンフィクション作家の梯久美子さんが「年をとること」をこんなふうに書いている。〈そのときどきの年齢の自分がバームクーヘンのようにぐるぐる巻きになって重なって…中の方には五歳の自分もいれば十七歳の自分もいるのだ〉▲撮影にご参加いただいた皆さん、“いつかの自分”と再会できただろうか。どうぞ末永く。(智)

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